この記事は
北海道コンサドーレ札幌 Advent Calendar 2021 - Adventar
22日目の記事です。ハッキリ申し上げてサッカーにかけるリソースが低下している今、参加自体やめようかな(2017年の作品を超えるものはないし)と思ったのですが、ちらっと見たら22日だけ空いていて運命を感じました。でも長文を1本書く時間がない。いつの間にか私もいち技術者からプロマネになってしまって忙しいんだ。年収は変わってないけどな。
※すでにご自分のブログなどで公開している記事を
この機会に改めて紹介してくださるのも大歓迎です。
って書いてあるし、やはりこれは運命。札幌の22は永遠に西大伍のもの。今空いてるから付けていいぞ。
というわけで下記エントリーをディレクターズ・カット版として再構成したものです。新たな注釈や、文章の修正などをしてあります。当時書けなかったけど今なら書けることを追記したものは赤文字で書いています。
win-as-a-team-cs12.hatenablog.jp
2019/4/12(火曜日)、元コンサドーレ札幌で現日本代表の西大伍選手、いや師匠と釣りに行ってきました。ご存知の通り、曽田さんがcampfireで募ったクラウドファンディングのリターンです。
Campfireでパトロンとなるまで
曽田さんのコメントを引用
「今年9月、私の故郷である北海道が大きな地震により被災しました。そこで2011年の東日本大震災時に立ち上げた支援団体「EN project japan」での経験を活かし、まずは一番被害の大きかった厚真町(あつまちょう)の子ども達への支援をしたいと考えています。幸い私には困難を乗り越えてきたアスリートの仲間がたくさんいます。今回はそんな彼らに「モノ」と「コト」を提供してもらい、このページをご覧の皆さんと一緒に復興支援活動を進めていきたいと思っております。ご支援、ご協力のほどよろしくお願い致します。」
ぜひ協力させてください。すでにふるさと納税で札幌市および厚真町*1に寄付はしていましたが、より一層力になるチャンスです。
ページをスクロールしていくと、ある文字列を発見しました。
普通に生きていたら、元コンサドーレ札幌で現日本代表クラス*2の選手と釣りをするのは、一生できない経験です。結構0の多い必要額(200000円)が目に入りましたが、「その額を全て西選手個人に払う形で一緒に釣りをしてもらう」というのでもまあまあ安く感じるのに、まずその額は寄付*3できて、お礼で釣りができるというのは、私にはこう感じたのです。
北海道の力になれるうえに、西大伍とタダで釣りができる
日程決定まで
札幌がめでたく4位躍進、鹿島がめでたくACL優勝を決めた中、リターンの実現に強い懸念が発生してしまいました。西選手が神戸に移籍を決断したのです。
まず、私ももう1人*4も、西選手が2019年も鹿島に在籍することを前提にパトロンに応募したはずだからです。私は既に西選手が退団して久しい札幌のサポーターなので、心情的に大した動揺はありませんでしたが、もしもう1人が鹿島サポーターだったら、まさか自分の応援するチームから移籍したてホヤホヤの選手と釣りができるのかという点。まあ、これは気にしてもしゃーないか。多額の寄付をする人にそんなことを気にする人はいなそうだ。(実際、釣り当日にもうひとりの出資者は現れませんでした。西選手によると「リターンは受け取らない」とか言っていたそうですが結局どうなったのか今もわかりません)
もう1つの懸念点は、西選手の本拠が物理的に遠くなってしまったという点。リターンを受けるには、釣りのポイント*5まで、自力で移動するのが条件。神戸周辺のどこで釣りをするかはわかりませんが、旅行になってしまうのは厳しいです。
そんなことを考えていたら、A-solutionから連絡が来ました。確か移籍発表の翌日だった気がします。「チームのスケジュールはこれから確認するところだから、連絡待っててください」とのこと。A-solutionの方(以下、Aの人)も、A-solutionの向こう側にいる西選手もとてもマメな方であると思いました。ここは言われた通り待ちましょう。後日、Aの人から曽田さんのイベントの無事開催の報告が来ました。*6あとは、西選手と釣りをするだけです。
ある程度開催までは時間がありそうなので、道具を揃えて練習しようと思い、タトゥーラSV TWを購入しました。バスでベイトリールの左巻きは珍しい(ジムこと村田基さんが右巻きを推奨しているのが大きいのかも)はずなので、道具を用意してもらえたとしても右巻きしかなかったときなど意味があるはずです。*7
日程決定
西選手が無事に神戸でもレギュラーを得たり、日本代表に選出されたり、移籍後初バスを釣り上げるなどしていたある日、4月12日の神戸のオフでどう?と連絡がありました。土曜の試合後の火曜にオフというのは不可解でしたが、この翌日にリージョ監督が解任されたことが無関係ではない気がします。サッカー選手のオフが一般的には平日であることはもちろん知っていたため、有給休暇はカンストして消え去るほど残してあるので日程的に問題はありません。しかもポイントは関東で、時間は私に合わせてくれるという優しさでした。西選手のバス釣りガチ度合を考えたら、絶対に「水の中に糸を垂らすことで満足」はしないはずです。時間はいつでもよい、早朝歓迎と伝えました。
その後、西選手自らポイント選定を行い、集合場所と時間が決定。大まかに霞ヶ浦、細かく言うと千葉県側の流入河川です。タックルは貸してくれるそうです。足りない分はありがたく借りることにします。
事前情報では「※ 実施時には、記録用写真の撮影等のためスタッフが同行させていただきます。」とのことだったのですが、当日はAの人は無しで、西選手とバスプロのマグナム長尾さん(バスボートを出していただける)と3人水入らず?で釣りに集中できそうです。
前日
バックモニターついてないせいでプランターをなぎ倒したけど、レンタカーはオフィシャルパートナーのニッポンレンタカー!
— 妖しい技術者サトシさんThere is no need to be worried (@satoshi_cs12) 2019年4月15日
クラブパートナーでした。すみません。
ご愛嬌であります。
ディレクターズカットとしてもとてもいらない情報だと思いますが、先代のcx-5を売却済みで、現在愛車となっているシエンタちゃんの納車前だったので、横浜駅のニッポンレンタカーでスウィフトちゃんを借りていました。
当日
横羽線→羽田線→湾岸線→東関東道で早朝に霞ケ浦に到着。1h45mくらい。感覚的には横浜から沼津に行くのと同じくらいです。横浜から伊豆よりは早い到着です。
集合場所に近づいたころ、バックミラーを見たところ、明らかに後ろの車の運転席に西選手がいました。しかも私の左折について来ませんでしたけどこれは一体…?カーナビが農道っぽいところを指定してきただけでした。多少モタモタして集合場所に着きます。やっぱ先に着いてた。申し訳ない。こんなことを言うのもなんだが、Aの人は集合場所が店舗名、その店舗がGoogleで微妙に違う位置に登録されているという、誰も恨むことができない悲劇が起きてしまった。
ここが集合場所です。今日はマグナム長尾さんのバスボートに乗ります。海の遊漁船はいくらでも乗ったことはありますけど、この手の床が平らなボートは初。自分はまあまあの筋力を持ちながらボディバランスが酷く偏っているのが不安ですね。ライフジャケットは必ず着用しましょう。
タックル
スピニング
ロッド:ショアガントゥイッチャー69UL
リール:ナスキーC2000HGS+PE0.6号+8ポンドリーダー
ワーム:カスミデザインのピンコストレート4.8インチ、ケイテックのスイミングインパクト、3インチくらいのシャッド*8
ベイト
ロッド:バンタム*9
リール:タトゥーラSV TW+10ポンドライン
釣況
今日は本湖ではなく流入河川を中心に攻めるようです。バスボートというのは本当に気持ちいいですね。海の遊漁船と違ってうねりがないからか、上下動ほぼなしに低い目線で水面を移動していきます。到着までは私が札幌サポーターということで、まず開口一番に「いや〜札幌(移籍)あるな。ディフェンスいないっしょ」とリップサービス?をいただきました。ありがとうございました。札幌からの旅立ち方が最高だったので、いつ戻ってきても歓迎されると伝えておきました。2021年12月となった今でも加入を待っています。GKと左ストッパー以外ならどこでもできると思います。他に色々と札幌の話、主にDFに求められることが他と大きく違うこと*12もしました。あとはイニエスタとかの話も。西選手はほぼ英語でコミュニケーションが取れていたらしいです。西選手は釣りグループ内(遠藤康選手とか犬飼選手とか)では「隊長」と呼ばれているらしいです。今まで自分がいたチームは全部赤だと言って、慌てて訂正される一幕もw
第一ポイントでは早速セコい釣りをしようと思い、自前スピニングタックルにカスミデザインのピンコストレート+ネイルシンカー1.8gのネコリグでいきました。西選手によると1.8は重いようなので、今度0.9と1.2を買っておきましょう。確かに4インチ以上のワームは自重で数グラムクラスなので、ライトタックルではオーバー気味でした。
一方、西選手はベイトタックルにクランクベイトでスタート、広く手返しよく探るということでしょうか。キャスト時にデジタルブレーキの音が聞こえます。ガチ度が違う感じがしますね。ベイトリールにはスプールの回転よりルアーの飛行速度が遅くなると、手前で糸がワチャっとなるバックラッシュという現象があります。それを防ぐためにかつては指だけでブレーキをかける必要があったのですが、遠心ブレーキやマグネットブレーキという固定値の係数でブレーキがかかる機能が今は主流です。しかし西選手のリールにはスプールの回転速度に応じてフレキシブルにブレーキの係数が変わる最先端の機能が搭載されているということです。
このポイントで流しつつ船や立ち杭などのストラクチャーを撃っていくと、先に私にアタリがありました。ここでメバルを彷彿とさせる電撃アワセをしたところスカ。西選手による「巻き続けて本アタリを待て」という指導が入りました。ワームの端に口が当たっているだけなんですね。
スピニングのキャストが珍しくまあまあ決まっていたところ、西選手に褒められました。プロスポーツ選手に運動で褒められるのは何にも替えがたい喜びを感じます。
調子に乗ってダウンショットでアシを撃ったところ根掛かりして糸が切れたところから、いよいよ西選手のバンタムを借りてベイトタックルにチャレンジです。
ボートはポイントに寄れるからとても良い。オーバーヘッドで投げれないのでアンダーハンドだけで済むのはとてもありがたいです。
霞ヶ浦広しと言えども釣れるポイントは限られるようで、どんどん転戦していきます。
西選手や長尾さん(主にトップウォーター攻め)はアタリをちょくちょく出すものの、私は一向にヒットがありません。最初のアタリをちゃんと掛けておかなければならなかった、という展開です。途中で遠藤康選手にマジで電話していました。鹿島はACLがあったから当然オフではなく合流はありませんでした。西選手はACLがなくなってフィジカル的に楽と冗談で言っていましたが、その後神戸でも浦和でもチームをACLに連れて行っているのですごいものです。札幌も連れて行ってくれませんかね。
正直言って現代のバス釣りは難しいです。考えられるのは、ブーム時に大挙して押し寄せた釣り人のせいで過度にプレッシャーがかかった魚が残した子孫にスレが遺伝していることです。リリースされた魚(1度釣られた魚)がもう1度ルアーに口を使うにはどれだけ時がかかるのかという単純な問題もあります。産卵で体力消耗した魚が、自分の届かない範囲の餌に反応しないというのもあります。何より、腕がまだ足りないのです。
釣れないと時間が早く過ぎていきます。
楽しい時間は早く過ぎていきます。
正午に差し掛かって、もう最後というポイントで、だいぶキャスティングも決まるようになっていましたが、ついにタイムアップです。新品のスピナーベイトのフックのカバーを外すのを忘れているという初歩的なミスもしていました(金森健志選手も同様のミスをしたことがあるらしい)。非常に残念。今日は難しい日でした。移動中に岸で1匹釣れているのを見ただけです。まだまだ腕が足りない。練習しないと。
遅めのランチで鰻をいただきました。数年ぶりに食べる鰻はとてもおいしかったです。普段土用の丑の日は、資源保護のためタチウオで代用しているので、鰻の皮の旨味がとても強く感じました。また、鰻の旬は夏ではないので(春でもないけど)、わざわざ夏に一局集中して消費すべきではないことを主張しておきます。うな重と川エビの唐揚げをおごってもらいました。店にサインもしていました。
札幌の試合がやってないときに西選手目的で神戸(前年は鹿島のACL)を見ていると言ったら喜んでいたのでとても嬉しくなりました。「何かTVで見ていてアドバイスとかありますか?」と言われたので、舞い上がりついでに「鹿島の時には上がったタイミングでボールが出ていたのに神戸では出てこない」と正直に申し上げました。札幌の試合の前に神戸の選手を強化してしまったとしたら申し訳ありません。
札幌について少し
2008年に札幌がJ1でほぼ勝てずに降格したことがとても悔しかったそうです。2017年に久々にJ1残留を決めた我々が、昨年ドサクサ紛れに4位と躍進したことで、「札幌に対して準備してくるチームが登場してきた。準備されるとほぼ勝てなくなっていてキツい」と吐露したところ、「ここからなんだよ」という静かで優しく強い言葉を頂きました。いいですか札幌の皆さん。ここからなんだよ。
また釣り場での再会を誓って解散しました。西選手はこれから神戸へ*13、私は娘の保育園のお迎えに間に合うべく帰宅します。これからも互いに互いの過酷な人生が待っていると思います*14が、またどこかの水辺で会いましょう。
マグナム長尾さんについて
ご存じの方はいるかもしれませんが、この日にバスボートを出してくれて、ガイド・技術指導してくれたマグナム長尾さんは2020年3月に事故で亡くなりました。ご冥福をお祈りします。
水辺に立つときはボート・オカッパリ関係なくライフジャケットを着用すること
ライフジャケットを着用していても、水門・滝壺・ダムサイトなどに落水すると反転流に巻き込まれて浮かんでくることができないため、これらにはむやみに近寄らないこと
これらを守って、天寿を全うするまで釣りをし続けることが故人のためになると思って、相模湖・津久井湖を安全運転でランガンしています。未だに献花に行けていませんが、2022年こそ行こうと思います。