新しいダイアリー(5)

北海道コンサドーレ札幌と釣り

あの日があるから今がある

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三年前の今日11/12はJ2第41節の千葉戦が行われた日だ。

札幌は「あの失点がなければ今頃は」という失点が存在しないほど惜しくも何ともない低迷には事欠かないチームだが、「あの得点がなければ今ここにはいない」にも最近事欠かない。

例えば、それは2017年の開幕連敗を止めた最初の勝ち点を取った都倉のゴールかも知れない。

例えば、6連敗で止めたヘイスのゴールかも知れない。その次の試合の福森の2発かも知れない。ジェイの2ゴール×2かも知れない。

例えば、それはルヴァン杯準決勝の鈴木のゴールであるかも知れない。

そんな数ある殊勲点の中でも、この千葉戦のゴールは、こぼれ落ちかけていた昇格をほぼ手中に収めたという意味で、現在の札幌の在り様に最も強く寄与しているゴールだと思っている。

この試合の決勝点は、0-1から追いついたもののピンチは連続して訪れる終盤で、ベンチはドローで手を打ち、最終節の金沢戦に賭けようとしている、という展開だった。ゴールマウスをがら空きにしていたところを頭越しに狙われたもののボールはマウスをそれ、そのゴールキック(ボールは止まっていなかったが)を河合にパス、河合がヘイスにオープントスを上げると、競れなかったのか、競らなかったのか、タッチはせず裏に走り込んだ内村の足先へ。マークをもろともせずボレーを撃つと、相手キーパーが美しく横っ飛びするのをあざ笑うかのように、サイドネットへ突き刺さったのだ。

まず、このゴールがなければ、千葉のゴールキックになって決勝点を与えたかもしれないし、ドローに終わったとして金沢戦もドロー以下ならプレーオフに回っていた。この千葉戦に負けていたら、金沢戦に勝っていても得失点差で上回られていたら同様にプレーオフ行きだった。札幌はあろうことか、プレーオフ第二戦用の会場は押さえていなかったので、本当にプレーオフに回っていたらホームなのに遠征となり、敗退していた可能性が高い。するともちろん、2017年の石を齧るような戦いの末の残留もなく、予算も補強も今ほどでなく、去年や今年に昇格していたとは想像しにくい。それだけ重いゴールなのである。

そして、このゴール自体にも、「あのプレーがなかったら」というプレーがいくつも重なった奇跡の産物のようなところがあり、素敵で数奇だ。自分の現在のポジションを理解せずプレーしたジュリーニョのミスを拾われたプレーで、千葉のシュートがポストに当たらず入っていたら。がら空きのゴールを狙わず、千葉がボールキープしていたら。ゴールキックのプレースがされてないとして蹴り直しになっていたら。ヘイスが触ってしまっていたら。全てのゴールはそういうものなのかもしれないが、このゴールに限っては、そういう数奇な運命めいたものを感じる。

内村はその後リーグ戦でゴールを決めることなく札幌を去ったが、銅像になることが決まっている曽田・砂川・河合・2017年の補強メンバー(早坂・横山・兵藤・石川・ジェイ)らと並んで、札幌の運命を変えた者として、今後伝説になるだろう。内村が2011年に決めたゴールのおかげで味わった2012年のチーム崩壊の経験と、2016年に内村のゴールのおかげで変えた運命が両輪となって、今の「3年連続J1残留・ACL及びタイトル肉迫」という姿を形作っているのだから。

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