新しいダイアリー(5)

北海道コンサドーレ札幌と釣り

J1で勝ち出してから応援した人へ捧ぐ第4期J2回顧

この記事は

北海道コンサドーレ札幌 Advent Calendar 2020 - Adventar

の8日目の記事です。

まずはじめにボツネタを紹介します

  • 新指標の開発

20日以降が埋まっていたため、シーズンが終わっていないためボツ

  • 西大伍選手と釣りに行ったディレクターズカット版

サカダイの飛ばしとは無関係に万が一復帰したら書こうと思ったが、そもそも加入していないし、シーズンが終わっていないため&神戸に迷惑をかける可能性があるためボツ

  • 石川の思い出

ネタで済まないダークさが出る可能性あるからボツ

これを書いた理由

私が観測している以上に、2016年ころからファン・サポーターが増えている。そこには当然「老害」と呼ばれる古参との軋轢が生じているし、実際「温故知新」とい言葉を完全無視したような暴言まで見かける。ひとつここは、その「老害内の若手」という浮いた立場である私(TV含めると観戦歴24年くらい)の経験というか感想を追体験してもらい、歴史を知った気になってもらいたい。

札幌の歴史は昇格で1区切り

札幌の歴史は数年に1度J2を幸運と勢い任せに乗り切って、J1で崩壊して終わるというスクラップ・ビルドの繰り返しであった。昇格するとほぼ即降格してきたため、昇格が1つの時代の切れ目だと言えるだろう。すると、以下のように時代を分けることができる。

  • 96-98 JFL期。昇格も、理不尽な降格ルールで屈した。その後長く続く債務超過状態の礎を築く。
  • 99-02(01は例外的な残留) J2第1期。初年度はコケたが、岡田監督とその人脈により昇格、残留。しかしその戦力は砂上の楼閣に過ぎず、退任後は柱谷哲二によりチームは破壊的ダメージを追う。
  • 03-08 J2第2期。1年での復帰を目指し前年以上に戦力増強するものの、至るところで爆弾が爆発し、ついにはリセットボタンが押される。最長の雌伏の時代にして、最もネタが濃い時代。昇格の仕方にも問題があった。
  • 09-12 第3期。移籍金ビジネスにより再び細っていくチームをドーピング。数多くの選手が消えていく中、あまり本意ではないタイミングで昇格し(しなくていい昇格なんてものは無いが)、小銭入れだけで銀座に来るかのような惨めな降格をする。
  • 13-17 チームのサイズを大きくすることに真面目に取り組み、輪廻を終わらせることに成功したように思える。
  • 18-20 今ここ。

私は前の世紀からこの輪廻転生の中で生きてきたわけだが、今回はこの第5昇格時代(第4期J2)に限って振り返っていこう(記憶がまだ濃く、しかも似たようなネタをあと4回できるなという狙い)。つまり、新参中の新参向けである。ちなみにすべて記憶だけで書いているので、あいまいな箇所などもある。

2013シーズン

シーズンプレビュー

前年に勝点14得失点差-63という歴史上最も圧倒的に降格した札幌は、強化費を2億台中盤(2019年の6/1くらいかね)まで下げざるを得ず、山本、高木純平、高原(はしご高)、芳賀、近藤、岩沼、ジェイド、キムジェファン、ハモンといった主力を大量に放出する。一方で補強はJFLからチョソンジン、東洋大4年中退松本、Jユース優勝メンバー6名(阿波加小山内深井堀米神田中原)、自分から出て行ったのか放り出されたのかよくわからないが旅に出ていた上里のレンタル復帰、謎の外国人パウロンと数だけは見繕った感。トップチームの指導経験のない財前監督はチームをどう立て直すのか、いや、どうプロとしての体裁を整えるのか…

ピックアップマッチ

第1節 千葉戦 1-0

札幌の歴史は千葉戦とともにあると言ってよい。ちばぎんカップで柏を圧倒した千葉相手に攻め込まれる時間が長い中で、チョソンジン・櫛引・奈良・松本の4バックはソリッドな守備を披露し、決定機を作らせない。復帰の上里は別人であるかのようなボール奪取を見せ、内村の飛び出し一発を狙い続ける。アウェイでの開幕戦で0-0であれば十分と思われたロスタイム、限界に陥っていた前田俊介から「任せた」のメッセージとともに砂川に託されたボールは、見事に抜け出した内村に通った。この後アウェイのベンチは5人でいくことが多くなる。

第4節 松本戦 1-2

開幕戦に勝った札幌は当時まあまあ財力があって調子に乗っていた栃木に負け、神戸にも負けて2連敗中の札幌は、JFLから昇格したばかりの松本には勝てると思われたが、前半を0-0で終えてしまう。岡本のゴールで先制したものの、2ランを浴びて逆転され、ゴール前に10人並べられて3連敗してしまった。前年と異なりサッカーの試合として随分成り立つものの、昇格してきたばかりの相手にすら勝てず、J3が早くもチラつき出す。

第8節 徳島戦 2-1

またしても2連敗中の札幌は、前半途中に主将の河合を負傷で失い、なおもいつも通り先制点を献上。しかし、杉山が謎のPKストップを見せると、後半にパウロンのゴールバーより高いところから撃ち下ろしたかのようなヘッドで同点に追い付く。勢いそのままに、上原のやはりゴールバーより高いところから撃ち下ろしたかのようなヘッドで逆転に成功すると、杉山の飛び出し失敗という演出もある中、逆転勝利を見せつけた。チームコンセプトもクソもない勝利であった。

このあと杉山強風逆ハット事件やテレ事件、出禁事件など発生するが割愛。

第23節 福岡戦 3-0

この頃の財前監督の中でのブームは三上と荒野。三上が体の強さを生かしてDFへのプレッシャーやボールキープでチームを前向きにし、荒野が華麗なテクニックでボールを運ぶ。その荒野の2得点もあって前半で3-0と試合を決めると、後半も相手にボールを渡すことなく勝ち切った。20試合以上無軌道に勝ったり負けたりを繰り返す中、ようやく10位まで順位を上げて希望が見えたと思ったのだが、次の東京V戦では三上を外して攻め手がなくなるなど、意味不明な起用が続く。

第30節 愛媛戦 3-0

前田のスーパーテクニックで先制すると、セットプレー崩れから内村が押し込んで試合を概ね決めた。後半の主役は新加入のベトナムの英雄レコンビンと面白外人フェホ。レコンビンのCKはJ2としてはかなりの精度で、同じくJ2としては破格のサイズを持つフェホに落ちてくる。こうあっては愛媛DFはなすすべもなかった。こうして、この年何度目か、何種類目わからない希望が見えた。

この頃にホーム6連続完封勝利とホームでは強く、逆にアウェイでは何もできず負けるパターンが続く。

第40節 神戸戦 1-0

試合前に神戸の昇格が決定するというハプニング。札幌によくある「首位を争っているチームに対して年に1度だけすさまじい集中力を発揮する試合」になった。レコンビンのミドルが北本のハンドを誘い、PKをレコンビンが自ら沈めて先制、後半は耐える展開ながらも、榊とフェホを前に残してカウンターを連発、刃物をグルグル振り回しながら身構えるような守備を見せて完封した。順位は7位となり、6位長崎に3点差となる。

その後41節では岐阜に完封勝利したものの、最終節はゴール前にいたバスを壊せずドロー、8位に終わった。

シーズンレビュー

最終節まで昇格の可能性を残したものの、どこで誰が出ても勝てるなという時もあれば、どこで誰が出ても勝てないという時もある、安定感を欠いたシーズンであった。そんな中、内村が17得点と結果を残したものの、ホーム熊本戦やアウェイ東京戦のように、先制したもののGK杉山のミスで落とした試合が散見され、やはりJ2はGKとセンターバックセンターフォワードをどうにかする事が優先されるべきだなと感じた。とはいえ、この年に「ヤケになって結果を捨てる方向に舵を切らなかったこと」が札幌の歴史を2年ほど早めたと思う。歴史上かなり少ない方の予算ながら黒字にもなった。

2014シーズン

シーズンプレビュー

年末に「信じて送り出したレコンビンがあちらのユニフォームを着てアヘ顔ダブルピースしている写メが送られてくる事件」が発生。意気消沈の札幌サポーターに向けて小野伸二にオファーというビックニュースが入る(順番は信じて送り出した→小野伸二オファー→アヘ顔かもしれない)。スポニチやニッカンの激しい妨害工作を、敏腕野々村社長が小野伸二本人との会食で封殺。ウィークポイント杉山のところに金山を補強し、他にも菊岡などを補強。前年そこそこの結果を残したチームだけに、的確な補強で勝ち点が純増すると思われた。

ピックアップマッチ

第1節 磐田戦 1-0

雨中での開幕戦となった札幌。立ち上がりから下馬評通りに磐田にボールを支配されるが、砂川が藤ヶ谷の意表を突く直接FKで先制点を挙げる。その後も磐田にボールを支配されるが、奪いどころを設定した堅い守備で得点を与えない。後半に入るとほころびが出てしまうが、1対1を金山が止め、PKも金山が止め、ワンチャンスをものにした札幌が磐田に洗礼を与える。

第14節 千葉戦 0-2

敗戦でも札幌の歴史は千葉戦とともにある。開幕戦を勝利した札幌は、その後順調に不安定さを増していき、13節終了時点で16位とまたしてもJ3を意識する位置にいた。それでもフクアリで千葉なら、という望みを持って千葉戦を迎えるも、90分間ほぼ何も起こらず0-2で終わるという最悪の形で絶たれる。この試合でもそうだったが、1トップに小兵の前田や内村を置き、右サイドに都倉を置くという何とも奇怪な起用が増え、財前監督の解任も現実的になりつつあった。

第22節 大分戦 1-1

待ちに待った小野伸二の登場を、札幌ドームは2万人の観衆で迎えた(この1つ前のドームは日曜夜で6966人)。これまでサッカーのサの字も感じなかったアニソン歌手が急に初めて観戦に訪れるなど、大きくチームの方向感を変えた試合。この日が開幕戦と言っても過言ではないだろう。なお小野は4-2-3-1のトップ下に置かれ、守備時は前残りが許可されるという、まだゲスト扱い的な感じであった。試合は確か後半ロスタイムにラドンチッチのヘッドで追いつかれたはず。

第28節 栃木戦 1-1

小野伸二の活躍もむなしく、何度目かわからない連敗街道に入り込み、24-27節で4連敗(しかも1得点)。この試合でもスーパーシュートで先制されると、後半に上原のスーパーシュートで追いつくのが精一杯。栃木もそうであったが、スーパーゴールでしか得点が決まらないチームは、上手くいっているわけがないのだ。翌日、財前監督の解任が発表された。なお、後任のバルバリッチ監督が着任するまで2試合の空白期があり、名塚代行が内容は伴わないながらも2連勝していて、翌年に代行した1敗と合わせても、コンサドーレ札幌で1番勝率が高い監督である(多分岡ちゃんよりちょっと高い)。

第41節 福岡戦 2-2

状態が上がっていた中原がゴール前まではキレキレながらも、シュートだけは決まらない試合が連発。これにより勝ち点が伸びないながらも、わずかながらに昇格PO進出の可能性を残す札幌は、残り2試合勝利が必須の状況で、下位に低迷する福岡と対戦。幸先よく先制したが、前半のうちに逆転されてしまう。何とか45分に同点にしたものの、オープンというより雑な展開となった後半は特に見るべきところもなく終了。最終節も先制したが磐田に引き分け、結果的に10位で終えた。

シーズンレビュー

前年を超える安定感のなさに加え、明らかに外国人補強に失敗(ヘナン、丁成勲、前年からいたパウロン)。夏には相手のポカやスーパーゴールでしか得点が決まらないようになった。財前監督を解任して以降、ゴールから逆算されたシンプルなサッカーに変更し、使う選手も固定して、ドローが多いながらも順位を上げて行ったが、前半でついた差を逆転できるわけもなかった。小野の獲得は「守備免除トップ下の用意」という制約をチームに与えてしまうし、数年は結果はともかく見世物に徹して、客だけを増やすことになるかなという空気を醸し出した。最終節終了後の稲本オファー発言でさらに空気を濃くした感じがした。また、このオフに2016シーズンから北海道コンサドーレ札幌に名称変更されることも発表された。

2015シーズン

シーズンプレビュー

イ・ホスンと奈良を失うというショックはあったものの、稲本は無事加入し、GKはクソンユンを獲得して盤石になり、空港でナザリトも捕まえたことだし、2014年後半の守備の安定感にナザリトと都倉と内村で適当にやってりゃもしかしたら行けるんじゃないか。どこで使えるのか知らんけどニウドも獲ったし。というコンサドーレ札幌としての最後のシーズン。

ピックアップマッチ

第1節 栃木戦 2-1

ナザリト都倉中原の3トップ、稲本はボランチで先発。GKは金山ではなくプロ初先発のクソンユン。ナザリトが先期待に応え先制、稲本はスーパーなサイドチェンジを連発する。ただのロングボールでも決定的チャンスを何度も作りそして外すナザリト。PKも止められるナザリト。直後にようやく2点目を決めるナザリト。ロスタイムに被弾するも勝利。バカになって勝とうと思った瞬間だ。

第13節 熊本戦 2-3

日に日に合わなくなっていくナザリトであったが、5勝5分け2敗と札幌としてはまあまあな序盤を終える。開始早々にカウンターから失点を喫した札幌は、前半に2点目を献上。熊本の引いた守備に対し、都倉やナザリトの高さで攻め込むものの、後半10分にボールをキャッチしたクソンユンを巻が相撲で押し込むという3失点目で、試合は決まったかに思われた。だが、ナザリトを古田に変更したとたん流れが札幌に。都倉が2点決めて1点差にしたが、あと一歩届かずに敗戦。ナザリトはポジションを失った。

第30節 横浜FC戦 2-0

何と12試合も勝てなくなってしまった。その間、小野伸二の起用に消極的なバルバリッチ監督を敏腕野々村社長は解任し(結構な賭けだ)、U-18から四方田監督を昇格させる。解任後名塚代行も含め2分け3敗となったが、天皇杯横浜FC戦で勝利すると、中7日で対戦となったこの日も小野のFKに内村が合わせて先制。後半にも内村が得点を挙げ、4試合ぶりの複数得点で13試合ぶりの勝利を飾った。だが昇格ラインはすでに遠く、シーズンは決していた。

第39節 千葉戦 3-2

札幌の歴史は千葉戦アディショナルタイムとともにある。札幌は数字上昇格の可能性を残す位置まで上げてきているが、残りはほぼ全勝が必要。ボールを握ってはいるが、前半終了間際にPKで失点を喫し、ビハインドで迎えた後半のことであった。荒野のヘッドは明らかにゴールラインを超えていたが、副審がノーゴールの判定。都倉のボトル遠投で開戦したゲームは、後半24分に福森のゴール、後半29分にセットプレーで失点、しかし後半31分に石井のゴールで再び同点。アディショナルタイムに入ってカウンターで絶体絶命のシーンを河合が止め、再び押し込んで得たCKで、クリアを拾った中原が冷静に福森につないで絶妙クロス、上原が逆転弾を決めてブザービートした。

シーズンレビュー

シンプルなサッカーを体現するにはシンプルなタスクでは済まないということがわかった。長いボールを通すにも、通った先にサイズがある選手がいて、それをフリーにするための設計が必要で、その選手の弱点を補うために周囲にどういう選手が必要で・・・そこに、小野も稲本もナザリトも都倉も獲ったからには使ってくれよと注文されたら、悩みは尽きないだろう。バルバリッチ監督は右ウイングにニウドを起用して解決を試みたが、割を食って外されたのは主に小野伸二であり、これがフロントとの確執を生んだことは想像に難くない。守備面では1年を通して奈良を失ったこと、その代替を獲得できなかったこと、そもそもフロントがここを補強ポイントと捉えていなかったことが大きいかなと思った。ビルドアップに長けたDFがいないため、前貴之のコンバートで乗り切る案も出したが、高さのあるセンターフォワード相手に分が悪かった。

2016シーズン

シーズンプレビュー

前田、菊岡、薗田といったここ数年で補強したものの結局モノにならなかった選手を放出した一方、マセード、ジュリーニョ、ヘイスを獲得。年を跨いで増川も獲得。前年よりは獲得した選手が粒揃いでいい補強だなと思った。この時点ではジュリーニョ左サイドとサイドバックって聞いてたもので。両ウイングバックに外国人を置き、トップ下に小野伸二、都倉とモノが違うらしいヘイスの2トップにクロスボールを送りまくる狙いだろう。

ピックアップマッチ

第1節 東京V戦 0-1

2年目の進藤がポジション争いに勝利し右のストッパー、逆に福森はコンディション不良(要するに太すぎ)で左は増川。ジュリーニョは左WBや左SBと聞いていたのに、キャンプ中得点こそ挙げるもののタスクをこなす意思が希薄で(下がってくれないわけではないが)、でも獲ったからには使うため、FW起用。ヘイスはコンディション不良。相変わらず小野のためにトップ下は用意しなければならない。そこから逆算して小野トップ下、ジュリーニョFW起用の3-4-1-2なのかと今では思っている。試合はずっと守りっぱなし、数少ないチャンスで河合と増川を残して選手が上がりきったところにカウンター一発で沈んだ。この試合後に小野が離脱し、ある意味足枷となっていたトップ下用意しなければならん問題が(不幸な形とはいえ)解決したのが四方田監督にとって良い方向に働いた。

第2節 岐阜戦 4-0

福森が左ストッパーに復帰、小野のいたトップ下に宮澤をスライド、かわりに深井をボランチに投入。都倉が前半だけでハットトリック、ついでにオウンゴールで4-0、前半で試合が終わった。出来の悪い相手とはいえ、ジュリーニョはサイドが本職の割にシュートテクニックに長け、このままコンディションさえ上がればFWとして通用しそうであった。トップ下に小野よりはモビリティのある宮澤を置いたことで、下がった位置でタッチしてゲームメイクしたり、時にはアンカーに変化することも可能になる。増川はJ2レベルのセンターフォワードなら封殺可能とわかったので、河合を控えに回す形で中央に固定。サイド攻撃はマセード個人技頼みながらも、ここから順調に勝ち点を積み始める。

第18節 長崎戦 2-1

16節にドローで連勝が6でストップ、17節にセットプレー絡みで3失点し10試合ぶりの敗戦(私は0-2時点で長女が生まれそうになったため見るのをやめている)、一気にここから崩れてもおかしくないところであったが、ここで踏みとどまったのは大きかった。先制されて嫌な雰囲気が出たものの、数分で都倉の見事な1対1で同点、その後ようやく状態の上がったヘイスちゃんのゴールで逆転。鬼守りで後半を凌いで3試合ぶりの勝ち点3を得た。ここから、外国人アタッカー両方を欠いて負けた横浜FC戦まで、2引き分けを挟み8連勝。この時点で3位と15点近く勝ち点が離れて、「いつが昇格決定の試合か?」計算が始まった(私はこの行為がすごく嫌いだ)。

第38節 熊本戦 0-2

36節札幌勝利&3位C大阪敗戦&4位清水敗戦ならば昇格決定も、札幌ドロー・C大阪ドロー・清水勝利でお預け。

37節札幌勝利&3位C大阪敗戦&4位清水敗戦ならば昇格決定も札幌敗戦・C大阪ドロー・清水勝利でお預け。

進藤と櫛引と深井と上里とヘイスとマセードを欠く札幌は、右ストッパーに永坂、ボランチ前寛之、右サイドに前貴之、上原と内村をシャドーに据える無理めな布陣を敷いたが、やはり機能せず、ボールをFWはおろかサイドまで供給する手段すらなく、熊本に試合を支配された。裏で行われた清水は勝利(C大阪ドロー)で清水と最大17くらいあった差は6点まで縮み、次節での昇格が消えてしまう。小林伸二氏のJ2

第39節 讃岐戦 4-1

3分でジュリーニョが先制、すぐ都倉、前半の真ん中くらいで荒野、コーナーで失点するがすぐにまたセットプレーでオウンゴールと前半だけで4-1。「リバウンドメンタリティ」という言葉を覚えた。結果論ではあるが都倉を早々に休ませるべきであった。裏で行われたC大阪が千葉に0-3で敗戦し札幌81、3位清水75、4位C大阪69となり、ようやく3位以上(最悪プレーオフに回っても、ホーム2戦引き分けで昇格)は確定する。

第40節 徳島戦 1-2

わずか3日後である。せめて日曜にしてくれなかったのか?菊地が前節怪我で離脱したが、河合も増川と入れ替わっている。徳島が的確に熊本戦をスカウティングしたようで、DFラインからボールが出ない。札幌は自陣に閉じ込められてしまった。幸運にも先制したが、今のDFラインに相手にボールを回させとけば耐えられるほど余力はなく、逆転負けを喫した。2位の松本には勝ち点で追いつかれ、3位の清水とは3点差となってしまった。いかに「勝ち点差が試合数以上なら安全」という言葉が糞かわかるだろう。勝ち点1差で最終節を迎えて安全かと問いたい。

第41節 千葉戦 2-1

札幌の歴史は千葉戦とともにある。ここ10年で最も大きい試合。(2番目は2011年の最終節)

語り尽くせない。この記事を見れば良い。

win-as-a-team-cs12.hatenablog.jp

シーズンレビュー

財前監督もバルバリッチ監督も指向していた自分たちのサッカー本位のゲーム支配について、リードした局面では残り時間は放棄したり、コンディションに不安のあるゲームでは局面だけに抑えたり、時には相手に合わせてやりたいことすら変えてしまうなど、ある程度割り切った考えに切り替えてしまったことは驚きだった。また、第4期J2では初めてといえる外国人補強の100%成功も大きかった。しかし、個の力のある外国人や都倉・福森をピッチに立たせるために、他のポジションへの負担が大きく、深井や稲本やマセードが離脱し、最終的に窮地に陥ってしまった。それでも、最後まで四方田監督がピッチに立たせることにこだわり続けた都倉・福森と、長年チームを表や裏から支え続けた内村・河合が演出した逆転勝ちで昇格を手中にするというのは、ストーリーとして本当によくできている。

2017シーズン

シーズンプレビュー

サイドを兼任できそうなアタッカーとして水沼・野津田に、増川が怪我で離脱したDFの要に近藤直也にオファーを出すが、スポーツ3紙の妨害でそれぞれ破談する。ここで屈することなく仙台から金園とキムミンテを、2015年第41節水戸戦で苦しめられた田中雄大を神戸から獲得。3紙の妨害にあった早坂は無事に加入。低みの見物を決め込んでいた天皇杯で横浜が敗退すると、兵藤が契約満了、札幌がオファーを出していることが判明する(要するに妨害される)。年が明けると、今度は大宮と契約更新したはずの横山にもオファーが判明。時間はかかったが両者とも無事に加入し、個人的には兵藤加入記念焼肉を行った。札幌より新潟が残留できると思ったのか、出るなら今とばかりに出ていった奴がいたものの、ほぼ戦力純増で開幕を迎える。

ピックアップマッチ

第1節 仙台戦 0-1

兵藤は控えで早坂と金園と田中雄大はベンチ外、キムミンテと横山だけ先発入り。試合は開幕独特の緊張感に包まれ、地に足がつかない展開となり、最終ラインでボールを跳ね返すシーンに終止する。前半は凌いだものの、後半ラインが下がってシュートを浴びるようになり、クソンユンが弾いたボールに詰められて失点。そのまま攻め手なく試合が終わった。仙台にすらボールを支配されるのかと軽い絶望感。

第3節 C大阪戦 1-1

お前らJ2の4位じゃん。調子に乗るなよな。先制されて吹っ切れた札幌は都倉と金園のツインタワーによるパワープレーを敢行。高いCBはヨニッチ一人であったため、ミスマッチが発生し都倉が同点ゴール。復帰後初の勝ち点が得られた。ここ負けたら多分降格してるくらい大きい勝ち点1。この後、都倉が金園を囮にファーサイドに逃げて敵サイドバックと競る形が1つの武器となる。

第4節 広島戦 2-1

現在札幌が行っているような安い守備を広島が披露してくれた。ハーフウェーより手前からのオープントスに都倉が抜け出してDFをなぎ倒しながら先制。割とすぐ追いつかれたが、前半ラストのFKで勝ち越し(頭が痛い話だが、ここでもボールウォッチャーの裏をついてキムミンテが抜け出した形である)。当時広島にいたアンデルソン・ロペスが攻撃をスタックしてくれる幸運にも助けられ、後半鬼守りで勝利、2012年第1節以来の勝ち点=試合数となる。後半スーパークリアを見せたキムミンテはボランチではなくDFで計算できるかもしれない。都倉のシャドーとして走り回った金園と兵藤は得点にこそ絡まなかったが、その2人を使ってる都倉が前を向けさえすれば、J1でも得点はできるだろう。大きな希望を得た勝ち点3であった。

第5節 甲府戦 0-2

ボールを完全に握る展開。しかしそこは甲府のセコセコサッカー、カウンターとセットプレー(わざわざ年1レベルのエデルリマのスーパーシュートというおまけ付き)で2失点。再び勝ち点が試合数を下回り、深井もシーズンアウトだろうということで、早くも絶望感が漂う。

第6節 東京戦 2-1

深井の怪我が何だ!勝ち点<試合数が何だ!俺達には無敵の武器「一体感」がある。兵藤は胃腸炎明けか何かだったのに64分も走り切って試合後に裏で吐く奮闘。先制されるも20本ものシュートを放ち、逆転勝利。再び試合数<勝ち点とした。どちらかというと大久保の1トップを90分続けて永井を使わず終えた篠田監督の失策であると言えるが、ショッキングな敗戦で漂う悪い空気を即払拭した大きい勝ち点3であった。

第8節 浦和戦 2-3

浦和の決勝点であるPKは誤審なので実質2-2!首位に立ちながら明らかに構造上の問題を抱えた相手に勝てないのか半分、前年2ndステージ王者&年間勝ち点1位の相手に肉薄するくらい個人のレベルがJ1に来ているのか半分。最も勝ち点に近い敗戦であった。

第10節 大宮戦 1-0

横山が契約により出場できず、守備と配球の両方で常に危険を感じながらも、何度目かわからない金園のポストに当たるシュートを宮澤が詰めて先制、危なげ少量で試合をクローズした。10試合で3勝3分4敗(阪神は関係ない)と2勝3敗ペースの勝ち点を積み、残留争いにもしかしたら参加しなくてもいいかもしれないと思ったものだ。しかし、この次から札幌は6連敗を喫する。

第17節 清水戦

6連敗を喫したものの、その6連敗目は勝ち点を得ておかしくない内容であり、一層もったいない負けであった。降格するときは惜しい負けの次に大敗が来るものなのだが、この日は前年にスイープしている清水が相手。早々にヘイスのゴールで先制すると、兵藤はFWともとれる位置取りをして、都倉がセンターではなく右に出る3トップのような形となる。これはこの後の布石であった。決して下がりっぱなしではない守備が、随所にスペースを生んで危なっかしいというスリルは発生させたものの、清水の低クオリティとクソンユンのビッグセーブに助けられて勝利。なおこの時私は法事で千葉県にいたのだが、2015年以降、「やむを得ず試合観戦を諦めて千葉県にいる」という条件で2020年終了時点でも全勝中である(この件を記事にしても良かったのだが)

第19節 浦和戦 2-0

この日は、2017/7/29。2000/7/29の浦和戦については大老害に譲ろう。現監督ペトロビッチを浦和からフリーにした試合。横山の負傷があってなかなか上手くいかないながらも都倉がCKで槇野のマークを外して先制すると、その都倉と槇野との小競り合いで報復がとられ、槇野を退場に追い込むことに成功。前半を1-0で終えてしかも1人多いという僥倖であったが、ハーフタイムでペトロビッチが3枚替えを敢行し、入ったばかりの那須がほぼ最初のプレーで負傷退場するという更なる僥倖を得る。しかし、2人多くなったのにズラタンに1on1を作られるなど無秩序な状態が続いたが、新加入のジェイがようやく試合を決定づける2点目をゲットし、新たなる7・29の伝説を作った。

第25節 磐田戦 2-1

浦和戦の勝利で勢いに乗るかと思われたチームは8月に入って再びバリエーションに富んだ負け方で3連敗(引き分け1)。ヘイスの絶妙なヘッドの1点を守った前節の仙台戦で何とか踏ん張った札幌は、この磐田戦は何とかドローで終えれば、という空気感であった。そしたら何か知らんがすごく上手くいって2-1で勝ってしまった。J1昇格年と言えば、1つ勝てば必ず何試合かはお預けを食らうものというコンセンサスがあったので、急に連勝してびっくりしてしまった。特に2点目はワンタッチ含む何本ものパスを繋いで得たもので、ついに攻撃のクオリティまで通用するようになってしまったのかと遠い目になる。なお、この頃からサッカー系ニュースで「残留争い」の枠から外されるようになっていく。

第29節 柏戦 3-0

日本ハムの早々のシーズン終了ゆえ札幌ドームを使うことができた試合だが、現場は柏の特性を考えて厚別を使う判断。これが奏功し「上位にいるはずが札幌の高さ対策に加えて芝対策も考慮し、まるで弱者のようなリアクション指向の柏」VS「絶好調のジェイ」という構図が出来上がる。ジェイから見れば小兵だらけの柏DFは崩壊した。10月半ばの柏戦といえば2008年の降格を想起させるものであり、「10月で勝ち点30いって降格するならそれはしょうがない」(この勝利で残留争いは脱し、どこまで勝ち点を積めるかの段階に入ったという意図のツイート(なら最初からそう書けばいいのにこの老害は))というツイートをした記憶がある。


第30節 東京戦 2-1

東京は大量の負傷者に加えてウタカが出場停止、しかも4試合残して4位以上も降格もすでに可能性がないというモチベーションに難がある状態。絶好調を維持するジェイがこの日も2得点。ずいぶんゆっくりなシュートが決まるもんだなと思ったが映像で見ると球速こそそこそこだがコースとハーフバウンドが絶妙なシュートで、私が後に「赤ワインシュート」と呼ぶシュートであった。セットプレーから失点したものの、関東アウェイで5年以上ぶりとなる勝利を挙げた。次節にも自力残留となる。

第32節 清水戦 2-0

前節敗戦したものの、17・18位の可能性がなくなっていた札幌の今節の残留条件は、1時間前に始まった広島が負ければハーフタイムに残留決定、同じく甲府が負ければ引き分け以上で残留決定、どちらも発生しなければ勝利で残留決定だった。

私は吐きそうであった。

31節は3週間も前であったため、通常の3倍の緊張感を貯めこむ。2週間前はジェイがてんかんの発作で練習を離脱している。都倉は謎の札幌置き去りであった(結局前節での握手拒否が問題視されたセルフ出場停止とのこと、身体はでかくても根幹は中学生レベルなんだよな)。試合は土曜であったが、木曜くらいから昼飯が食えなくなっていた。自宅から150キロあまりの運転中も気が気ではなかった。清水インター降りた後、サイゼでちっちゃいドリアが半分も入らない。停止線を見逃して急ブレーキを踏む。

しかしプロフェッショナルは緊張感を力に変えることができる。キングジェイは従者チャナティップと兵藤を従えて石川の年一レベルのクロスをヘッドで叩き込む。チャナティップチャナティップ物語にも掲載された見事なドリブルから、またもジェイがDFの足ごと2点目を蹴り込む。清水がキーパーごと押し込んだシュートはファールでノーゴール、河合がダーティータックルで骨折するも、横山が中央にスライドし、進藤が堅実な守りを見せる。後半も重心を下げずに時計の針を進め、ついに16年ぶりのJ1残留を成し遂げた。16年分の緊張感から解放されたこの年のAdventer記事は会心の出来であるため皆様もう一度見てほしい。

win-as-a-team-cs12.hatenablog.jp

シーズンレビュー

守備に重点を置いた戦い故に惜敗が続いた前半戦であったが、3週間ものオフの間にチャナティップ・ジェイを補強。チャナティップについては能力が、ジェイについてはフィットが疑問視されたが、良い方に裏切られた。前2枚、下手すれば1枚で攻撃していた前半戦から、この二人の補強で左チャナティップ・中央ジェイ・右都倉という3トップが固定され、守備の枚数が減る分はチャナティップと都倉の運動能力でカバー可能であり、中央には都倉以上にスーパーなジェイがいるという他にも、前半戦は低調であった早坂が後半戦で覚醒、石川がウイングバックとして機能したのも大きかった。兵藤・横山は通年、キムミンテ・田中・金園は前半の苦しい時期を支えてくれたし、J1昇格年に行った補強についてこれほど成功したのは初めてである。2013年のメンバーはほとんど抜けてしまっているが、札幌はついに因果律から脱したのかもしれない。何せ20点も取れなかった勝ち点が40点以上も取れたのだから。これはパラダイムシフトだ。この年の監督・選手は銅像を建ててもいいと思う。


いかがだっただろうか?長いか?

たかが5シーズンでこれだけになるんだから、96年から振り返るとどうなってしまうんだろう。そこは、大老害に任せようではないか。