本日は14日目です。14といえば上原慎也。
小野、稲本らの加入、その他のなんやかんやでここ数年ほどアウェイのゴール裏にも新顔が増えてきているなと感じます。本日はそんな皆様に、上原慎也を紹介させていただきたい。
※14といえば新三大古川毅じゃないんかいと言われるかもしれないが、「新三大古川毅の失点しなかった凡ミス」等にすると、記録&記憶が少ない、三大に絞れないという理由でエントリーを上げることができないと考え、上原慎也を選出させていただいた。
上原慎也は高身長と甘いマスクに加えて足が速くて(*1)人柄も良い(*2)という、小学生からおばさんまですべての年代にモテるような魅力を持つ選手で、一番の良い所は「サイドバックの位置からでも長い距離をフリーランしてDFの裏に抜けられるところ」だと思っているが、本日は特に「主人公補正」とも言えるような「殊勲のゴール」を紹介していきたい。
まずプロ野球における殊勲打とは:先制、同点、勝ち越し、逆転となる安打である
とにかく上原慎也は上記に該当するゴールの印象が強い。これまでのリーグ戦18ゴールを紐解いていくと、以下のとおりである。
2009年
3ゴール中1ゴールが同点 1/3
2011年
2ゴール中1ゴールが先制(=決勝)、1ゴールが勝ち越し(=決勝) 2/2
2012年
3ゴール中1ゴールが勝ち越し(=決勝) 1/3
なお天皇杯は母数にもカウントしない(なおAC長野パルセイロ相手に同点ゴールをあげたがその後の記憶が無い*3
2013年
5ゴール中2ゴールが先制(うち決勝1)、1ゴールが同点、1ゴールが逆転(=決勝)
なお熊本戦の同点ゴールは勝っていないので含めない 4/5
2014年
3ゴール中1ゴールが同点 1/3
2015年
2ゴール中1ゴールが逆転(=決勝) 1/2
18得点中10得点が殊勲ゴールだが、サッカーはそもそも得点のうち半分程度は「殊勲ゴール」にカウントされるだろう。1-0→1-1→1-2→2-2→3-2とでもなった日には全てが殊勲ゴールである。では何故上原慎也に殊勲の印象が強いのか?それは何かとゴールが劇的だからである
殊勲の決勝ゴール① 2011年第30節横浜FC戦
試合背景
札幌は9月を2位で終え、3位徳島4位鳥栖と勝点差わずかに1、5位千葉とも3しかなく、ここからは下位相手の取りこぼしを防ぐことが至上命題となっていた。横浜FCはスポンサーの1つである塾の生徒をタダ券で動員し、札幌は去年までどこに潜んでいたんだよというほどのアウェイサポーターでアウェイゴール裏を埋め、16,813 人と国立競技場の実に30%を埋める大観衆の中での一番となった*4
前半
プレスが全くハマらない札幌。前半30分までずっとボールもたれっぱなしでシュート0、バーとGK李に1回ずつ神が降臨していなければ0-2だった。河合岩沼という今では考えたくもないダブルボランチが札幌サポーターの胃を刺激する
後半13分 内村の先制ゴール
前半は0-0で凌ぐのがゲームプランだ!0-0で済んだ時はそう言っておけ!とばかりに別のチームとなった札幌*5。横浜FCも別のチームになったようにミスを連発し始め、ついにボランチの選手が札幌のFWジオゴにパス(公式記録では「カット」となっている)、内村に絶妙なスルーパスを通し、その内村がおしゃれにアウトサイドでゴールに流し込んで札幌が先制した
後半33分 野崎に同点ゴールを喫する
当時J2にはJ3降格ルールはなかった。なのに何故まだやる気があるのだろう*6。守備を放棄してフランサとエデルの連続投入という重課金*7。札幌はフランサとエデルとカイオに精一杯、カウンターでついに野崎に同点ゴールを喫してしまう
後半37分 上原投入
後半43分
重たい時間が過ぎていき、後半40分に河合が足をつって交代、札幌は日高櫛引山下の3バックに河合高木のダブルボランチ、右に古田、左に岡本、トップ下砂川、ジオゴ上原の2トップという特攻布陣になっていた。すでに特攻布陣になっていた横浜FCと、カウンターの応酬が始まる。カイオやフランサがどフリーで枠外に撃つ幸運で何とか助かりつつ、岡本がカウンターからFKを得て、キッカーの位置には砂川。
FKが弾かれて得たCK。上原は空高くジャンプし、ニアサイドでドンピシャのヘッドを放った。相手GKの関が全く動けない、完璧な決勝ゴールであった。国立競技場での初勝利(にして唯一の勝利)となった。結局、このゴールがなければ、札幌はシーズンを4位で終えていたかもしれない。1年積み上げた勝点をムダにしないため、かけがえのない決勝ゴールとなったのである
2012年第19節名古屋戦
試合背景
J1に昇格した札幌はその戦力の不十分ぶりによる下馬評通りに前半戦を最下位(1勝)でターンしたのち、中断明けの磐田戦も落としていた。しかしながら、この試合から移籍ウインドウが開き、新戦力の元韓国ユニバーシアード代表DFキムジェファン、ロシアリーグ(うっ・・・頭が・・・)で大活躍するも気性の難しさから放出されたMFハモン、フッキを超す恵まれた肉体を持つFWテレが出場可能になっていた
名古屋はよく知らん。闘莉王がFWだった
前半
テレはダヴィのようなプレースタイルという三上強化部長のコメントは何だったのか。全然動かないし前からも追わないじゃん。ハモン凄いわ。守備時は全然動かないけど。クライトンほどキープ力はないがパスの能力は完全に上だわ。両足キッカーだし。キムジェファンは無難でいいんじゃない。ていうかジェイド・ノース凄いわ。この日のジェイド・ノースキレキレ。奈良は合わないか。あれ、前半他の記憶ないな*8
後半10分 山本の先制ゴール
CKのカウンターからハモンの素晴らしいスルーパス、何故か最前列に走りこんだ山本が冷静に流し込んで先制。CKは名古屋のファールになったのだが、札幌の選手(名前が思い出せないが、派手な髪色で薄毛だった気がする*9)が素早いリスタートでハモンに渡したのが大きい。
後半13分 闘莉王に同点ゴールを喫する
CKから闘莉王がキムジェファンと杉山を潰しながらゴール。つーかファールだろハゲ。ハゲにハゲって言っちゃ悪いかハゲ
後半27分 上原投入
後半47分
この日の札幌は何か違った。いくら年に何回かしか勝てなくても、5試合に1試合くらいはそういうのがわかる試合がある。それがこの試合だ。名古屋の何度とない攻撃をジェイド、ノース、ジェイド・ノースらが防ぎ、 テレに向けたパスは追いつけず高木(ピ)*10に渡る展開が連続。テレはお役御免となり上原が投入されると、タイミングが悪く中盤のスタミナがキレて札幌は劣勢に。しかし再三のピンチは杉山が防ぎ、名古屋の勝ち越しと思われたシーンはオフサイドに。ストイコビッチは息をするように退場した。
ついに試合はロスタイムに突入。負傷した杉山の治療時間が加わった6分という長さが上原の主人公力を呼び覚ます。山本のクロスにニアにいた内村(オフサイド)が触ればノーゴールだが内村の身長が幸いし、フリーで走りこんだ上原の元へ。186cmの高さがもったいないほど丁寧に縮めた身体が、ボールをニアのサイドネットへ射出する。
https://youtu.be/FqTHa65CJCo?t=20s
(J'sゴールより引用)
名古屋の猛抗議があったが判定はゴールで覆らず。いや、君らのハゲのゴールはファールだからトントンだよと。意気揚々と当時の私は勝利のオリジン弁当宮前平店へと向かったのであった。*11
(J'sゴールより引用)
2015年第39節千葉戦
試合背景
札幌はわずかにPO進出の可能性を残し、負けられない戦いが続く。千葉もその立場は変わらない。というか、全部勝っても6位が2勝したらどうせPOには行けない。わかってはいる。わかってはいるのだ。しかし、わかるわけにはいかない。そして、千葉のことはいつでも足を引っ張らなきゃ気がすまないのが俺達札幌だ。この試合、落とすわけにはいかない
前半
小野、都倉、荒野らが散発的に攻撃を繰り出すが、千葉も水野、ペチュニクの圧力が大きく、大きく攻撃にバランスを傾けるのは憚られる。正真正銘の「難しい試合」になりつつあった。
前半45分 ペチュニクに先制ゴールを喫する
しかし前半ロスタイム、櫛引が時間帯を考慮しない判断ミスから千葉にカウンターを受け、具と森本が1対1となりPKを与えてしまう。具の読みは当たらず、前半は最悪の終わり方をしてしまった
後半キックオフ
開始直後の小野のシュートはポストに当たり、荒野が詰めたがサイドネット。続く後半4分にも小野のCKから都倉が天空へシュート。前半終了間際に失点を喫したことが、図らずもこのゲームのバランスを「一進一退」から「攻める札幌守る千葉」へと変えたのかもしれない
後半21分 上原投入
後半23分 福森の同点ゴール
後半18分、福森のアーリークロスを石井がヘッドで折り返し、荒野が押し込んだがノーゴールの判定。贔屓目を覗いてもゴールインは確かで、真横で見ていた都倉は小木曽副審にボトルを遠投した(これは後に写真が出まわる事態となり、小木曽副審の能力が疑問視される材料となった(なおこの後、シーズン内でもう1度だけ副審をやっている))。札幌の攻撃の怒りのボルテージが上がっていく。
自陣深くでボールを奪った福森は味方にボールを託して上がっていく。石井が小野と練習のような美しいワンツーで抜け、ゴールラインギリギリで上げたクロスに合わせたのは何とさっきボールを自陣で奪った福森であった。パワー・タフネスでCBとしては残念と言わざるをえない福森*12だが、それを補って余りある魅力があり、その1つがこれだ。来年頑張って欲しい
後半28分 金井に勝ち越しゴールを喫する
金井のクロスは大したことのないものであったが、札幌がラインを低くしていたこと、上原がペチュニクを放すどころかむしろ具の邪魔をしに行くというミスを犯し、クロスがそのままゴールイン。せっかくのムードを台無しにする失点だった。いつもなら。
後半30分 石井の同点ゴール
失点直後の攻撃だっただろうか。宮澤のクロスは一旦跳ね返されたものの、河合がワンタッチで浮き球を返し、上原の落としに石井が滑り込んでゴール。この上原は「殊勲のアシスト」だ。札幌はこのシーンあたりからクロスに対し常に中央に3人いるようなバーサク状態となる。いや、飛ぶ人が多いからレビテト状態か
後半35分
エリア横でFKを与えてしまった札幌。大岩のヘッドは金井に流れ、金井のシュートは具が弾き、再び放たれた大岩のシュートはゴールライン上で上原がクリアした!ここで足が出るかどうかが勝点0か、1か、3かを分ける。これは「殊勲のディフェンス」だ
後半50分
数的不利のカウンターも河合が懸命に防ぎ、中原が体を張ってマイボールにする。(ナザリトがマークを引き付ける。)前半とは打って変わってオープンになった試合は、いよいよ決着をつける頃合いになった。枠外へ放つ中原、GKに弾かれる荒野・・・
そして、間違いなくこの試合最後のプレーになるCK。札幌はエリアすぐ外に中原、センターサークルに堀米を残し、具も含む全員がエリア内へ。福森のCKは跳ね返されたものの、中原の目の前へ。ここで中原が撃っていれば試合は引き分けで終わっていただろう。中原はオフサイドなしを確認して冷静にキッカー福森にリターン。福森の今日最後にして今日イチのボールがナザリト、具、宮澤、河合、そして上原が並ぶゴール前へ。千葉にとっては時間がゆっくり流れるか感覚を味わったことだろう。最早、誰が何をしても失点は避けられないと。上原の叩きつけるようなヘッドがネットに刺さるのを見送るしかないと
このゴールは他にも色々な人が現地で撮影しております
惜しくも入選を逃した殊勲のゴールたち
2009年栃木戦(初ゴールが同点弾)
この試合は劇的勝利というよりも「新顔に負けなくてホッとした」なので選外に
2009年愛媛戦
そもそも札幌が全般的に酷すぎただけである。クライトンダニルソンがいてこれなの。あとこの愛媛にいる内村って選手がほしい
あとこの試合のヒーローは芳賀
2011年岐阜戦
内村の退場という苦境があったものの、札幌は随分余裕があったし、時間帯も割と浅いから不採用に