たった3年程度であるが、東京湾のサワラキャスティングについての知見が貯まったので書いていく。
想定シーズンは晩夏〜初冬で、湾口に現れたタイミングは含まず、外洋に落ちていくシーズンもまた含まない。
釣り方としては、バーチカルなジギングは含まない。
サワラ基礎知識
春から秋にかけては沿岸の表層を群れで遊泳する習性があるが、東京湾においては盛夏に湾口に現れ、季節の進行にともない湾奥へ回遊していく。湾奥と言ってもワカシ、イナダのように若州でもたまに釣れるということはほぼなく、アクアラインを過ぎたあとは日替わりでポイントが変化し、やがて年末〜2月ころに湾口にまた現れる。この湾内にいる間にいかに群れに遭遇するかがまず勝負所である。
サワラの食性は肉食性で、おもにカタクチイワシやイカナゴ等の小魚を捕食する。シーズン初期は3cm大のシラスを捕食している。これがルアー選定の大きなポイントである。
船
必ずオーバーヘッドで投げられる船に乗る。これに尽きる。
アンダーハンドではブレード、ミノーともにトレースコースを稼ぐことができない。アンダーハンドでも飛ぶよというアナタ、サイドハンドで両隣に迷惑かけてますよ。
普通の漁船の釣り船に乗れば7時間10000円で、ガイドボートなら5時間12000円、通し18000円といったところで、一見釣り船のほうが良いように感じるかもしれないが、時間あたりの船に上がるサワラの本数はだいたい同じで、漁船に十数人も乗ろうもんならたちまち半数はボウズ確定である。しかも漁船ではたいていオーバーヘッドで投げられない。(他の青物も五目で狙うジギングならば漁船にもメリットはある。)
ロッド
長さ
オーバーヘッドで投げられる船に乗っているので、ショートロッドを使う必要がない。かと言って、長すぎると迷惑である。ギリギリ迷惑ではないのが7フィート3インチであろう。
6フィート10インチから7フィート3インチを使うべきである。
ブレード用
ブレードジギングと言ってもジギングロッドを使ってはいけない。ジギングロッドでは飛ばないし、1日中アクションし続けるには重い。
強めのボートシーバスロッドが適しているが、ミノー用タックルを別に用意できるなら弱めのオフショアキャスティングロッドでも良い(重いけど)。
40gが投げられて、脇に挟むことができるくらいリアグリップが必要。理由は後述。
ミノー用
ミノーにアクションを伝えるためには何が重要か?実はティップの反発力ではなく、バットの硬さである(俺調べ)。ティップはむしろ軟らかいくらいのほうが、ヒット後にサワラをいなしやすいかも。
20gが投げられて、リアグリップはアクションの邪魔なので短い方が良い。肘で固定するくらいで。
どっちも一本で用
強めのボートシーバス用で何でもできる。適合負荷の上限が30gなんならそこまでしか投げなければ良いし、短いなら頑張って飛ばせば良いし。
リール
ブレードでもミノーでも超高速巻きが必須である。ギア比ではわかりにくいので、1回転95cm以上が要件である。
では6000番、8000番を使えば良いのかというと、そういうことではない。体力や実釣時間の長さによるが、300g台では重すぎて手首が死んでしまう(特にミノー使用の場合は顕著)。
ブレード用
ブレードジグに一切のアクションは不要。とにかく超高速でまっすぐ巻く。このとき、直進安定性を出すためには、リールの剛性が最も重要である。しかし重くてはいけない。そこで、オフショア用の一番小さいやつを使う。
ミノー用
ミノーのアクションはロッドで行うが、ラインの回収は当然リールの仕事である。ジャークやトゥイッチなど、とにかくスラッグがたくさん出る釣りになるので、テンションがかかっていない糸を巻いてもトラブルにならないような機構が搭載されていると良い。つまりはステラである。
どっちも1個で用
「剛性に劣るリールでブレードジギングをやる」
「300g超のリールでジャーク、トゥイッチをやる」
であれば、身体が辛いのは後者、釣れにくいのは前者である。好きな方を選ぶか、最高級品を買えば両方の釣りがカバーできるだろう。
ライン
道糸
PEしか使ってはいけない。PE以外を使っている人は、最早怒られることもなく、可哀想な目でただ見守られるだけ。
40gフルキャストの可能性があるので、1.2号が必要。1.5でも良い。
リーダー
リーダーといえばフロロカーボンという刷り込みがあるが、この釣りにおいては意外とナイロンが良い。何故かというと、サワラで狙うポイントには根ズレの可能性がほぼないし、サワラの歯で傷ついたときにだましだまし上げてこれるのはナイロンである。ガイド抜けもよい。
最近は耐摩耗性に優れたナイロンが存在する。それがベストだと思う。
ルアー
変なものは買わなくて良い。
ブレード
メタルマジックTG20/30/40g
これだけで良い。
ミノー
X-80Magnum
SRや+1ではなく無印の80マグナム。これだけで良い…と言いたいところだが、一応ミノー内で選り好みされることがあるので、同系統とノーアクションモノでそれぞれ1つずつ選出。
- ルドラ130
- ピンテールチューン
アクション
ブレード
とにかく早く巻く、というか、投げて着底したら回収するというだけ。奇を衒ってはいけない。
このとき、サワラを選んで釣るためには、いかに直進方向に泳いでいるかがキモとなる。ラインとロッドは一直線にして、脇に挟んで固める。そして超高速巻きをするというわけである。
ミノー
ミノーは各ルアーによって微妙に異なるが、基本的に早巻きは同じ。ルドラならジャーク、80マグナムならトゥイッチが良い。ピンテールチューンはメタルジグだと思って使ったほうがいいかも。
立ち回り
①ブレードの守備範囲はミノーの10倍
ブレードは全く沈めなければミノーと同じ泳層を引けるが、その逆はない。よって、ブラインドなら100%ブレードの方が良い。
②今魚を食ってる瞬間ならミノー
ブレードでは直進して逃げる魚は演出できるが、パニックベイトは演出できない。ボイルがあるとき、鳥山を攻めるときは100%ミノーの方が良い。
③ブレードは払い出し方向に、ミノーは追い風方向に
この釣りはトレースラインの長さがそのままチャンスの量になる。ブレードは着底までにある程度流れるが、これが手前に落ちてしまうようだと大きなロスになる。ブレードは沖に流されていく方向に投げる。
一方、ミノーは沈めることがほとんどないので、追い風の方向に投げればそれで良い。向かい風の方に鳥山があったらって?そんなところを流す船長はやめたほうがいいよ。
このように、席をフレキシブルに移動でき、時には片舷に集中することもできるように、ガイドボートに乗ろうというわけである。