さて、来週に迫っている北海道マラソンについてだが、結局自分のフィジカル面に成長はほぼなかった(体重減だけは達成している)。やはり、外から科学的なアプローチで何とかするしかなさそうだ。
1.レースペースを考える
何はともあれ、制限時間(関門)だ。ここを1秒でもクリアすればそれは完走となる。
これが設定時間だ。何をどうやっても変えることはできない神のルールだ。一応暑いと係員が危険なので早まるみたいなことが書いてあったが今年は明らかに去年よりはマシなのでそうならないだろう。
1.1.初期無駄走り補正
私はHブロックのスタートなので、恐らく西6丁目くらいから走り出すこととなり、400mほど余計に距離があるだろう。
400mはネガティブに見積もって分速80mで歩くとして、5分。つまりすべての関門は実質5分前と考えなければならない。
1.2.関門のペース変化
関門を一切考えなければ、42195m÷360分=時速7.1km(8分31秒/kmともいう)で走れば(歩けば?)6時間以内ゴールを達成できるわけだが、実は制限時間はワンペースで設定されていない。初期の混雑を考慮して大幅に遅く設定されている1.2km地点を除くと、このように配分されている。
初期5kmを10分/kmのあとは、25kmまで8分/kmになっているのである。つまりは8分/kmを一旦超えると、取り返せなければリタイアと言っていい。
その後29.8kmまでは200m短い分楽なのだが、35kmまでの5kmは最も早い7分42秒/kmペースが要求されている。
そこさえクリアすれば、35~40kmは9分/kmペース、40~41.5kmは同10分で早歩きの域だ。ラストの695mは普段の歩きよりも遅い
1.3.関門≠補給
だいたいのマラソンがそうだと思うが、関門ごとに補給があるわけではなく散らばっているので、「関門までに稼いだ時間を補給で使う」が計算しにくい。しかも、補給所自体に濃淡がある。以下の具合だ。
●:DAKARA ★:給食
START
2.0
5km関門
5.4●
7.3●
10km関門
11.1●
15km関門
15.5●
17.5
20km関門
20.2●★
22.5★
25km関門
25.2●
27.5★
29.8km関門
30.2●★
31.3
33.0★
35km関門
35.2●
38.0
40km関門
40.3●
41.5km関門
GOAL
全ての補給で水を取る(使い方は様々)のは当然として、DAKARAも全て取っていきたい。
給食については20.2km以降に登場するが、消化にかかる時間を考えるとすべて必ず取るというほどではないだろう。ただし、早そうな糖類が見えたら取りたい。
すると、10~15kmのDAKARA1回に対し、20~25kmのDAKARA1・給食2回の区間はかなり時間を食いそうだ。
そして、29.8~35kmは数字上最高速を要求される区間でありながら、補給3回、うちDAKARA1給食2という飛んだ食わせもんだ。貯金(あればだが)はここで確実に使うことになるだろう。
1.4. レースペース検討
検討を重ねた結果がこうだ。
1区(~5)
本当は最初の5kmを6分/kmでいって貯金を作ってあとは流したいが、Hブロックなのでそんなに流れていないだろう。蛇行して抜かすと大きな距離ロスとなるからやらない。代わりに補給を一切取らない。5kmなら持ち出しでスタートして、3km地点及び5km地点にいる沿道応援者(我が親および娘)にゴミを預ける。
2区・3区(5~15)
さすがにペース上げられるほどバラけただろう。ここを(40kmまで考えたうえでの)本気出す区間とする。休憩もあまり時間がかからない予定。
4区(15~20)
ご存知かどうかわからないが、私の大会経験は10kmどまり。つまりペース維持して走れるのは10kmが限界である。ここからは自然と減退していく予定だ。しかし、7分を超えるペースまで落ちるだろうか?と考えると、普段の練習を考えてもなかなか考えにくい。幸い?なのか、休憩も薄いので、逆に言うと時間が食われない。ここまでは大丈夫。
5区(20~25)
無の区間こと新川通りが牙をむく予定だ。厳しい状況になるだろう。7分15秒まではいいものとする。たんまりと休憩し、貯金を少々使うのも辞さない。
6区(25~29.8)
大会で最も難しい区間だ。札幌市中心部から最も離れ、最も何も救いがなく、暑い時間に差し掛かりすらする。7分半で良い。8分/kmを超えなきゃ貯金は貯金だ。
7区(29.8~35)
ここの区間は明確に貯金を使っていくべき所だ。強い意志を持って、ゆっくりにする。トラブルで0km/hになったら絶対にゴールできないのだから。休憩もたっぷり使う。
8区(35~40)
関門の恐怖から解放されるだろう。ここからは7.195kmで1時間10分使える。16分半ほど貯金があれば12km/hで歩いてもゴールできる。
9区(40~42.195)
ここは歩こう。
2.補給を考える
ここまでで作戦の7割は終わりで、あとは蛇足だ。
2.1.給水
2km以外の給水は全部取る。何故なら軽装優先にするためだ。水分の持ち運びはスタート時のボトル1本だけだ。
水は飲むだけでは済まない。体にかけて使う。かけて飲んで30秒だ。
2.2.給ミネラル
ミネラルは足つり防止その他、様々な用途で有効だ。DAKARAは全て取っていかなければならない。もちろん誰でも知っていることなので、給水所ではDAKARAが混雑するはず。水の2倍の1分を見積もる。
ミネラルはジェルからも摂取する。補給タイミングは10km・20km・25km・30kmだ。なんかこれがいいらしい。
2.3.給食
給食だが、私は乳糖不耐症になっているので、公式給食のうちどれを食べたら腹を下すのか定かでない。よって加工食品ではなく、基本的にフルーツしか取らないで進むつもりだ。というか、粉や粒のものを胃に入れたら走れなくなる効果の方が大きそうだ。1.5分以内に食べて走り出す。
もちろんジェルから糖分は摂取できるし、前日までにカーボローディングはしておく。ジェルのタイミングはミネラルと同じ。
2.4.薬物接種
物騒なタイトルだが、要するにカフェイン及び痛み止めだ。
痛み止めは2発(本命と予備)持って走る。カフェインも2発(20kmと30km)持つ。23~29度あるらしいので、多分トイレに行きたくはならない。
2.5.補給まとめ
- 2km以外の水とDAKARAは全部取る
- 給食はフルーツを取る
- スタート時の持ち物は小さめボトル1・痛み止め2発・カフェイン2発・ジェル×4×2とする
3.靴を考える
3.1.ランニングシューズ
もう十分考えたことだが、プレートは一切いらない。とにかく足が持つこと優先で、昨年の今くらいにウェーブライダー27を買った。しかし、250kmほど走ったからか、足なじみは良くなっていても、クッション性が若干減っている気がする・・・
そう思い、断腸の思いでMIZUNOを離れ、HOKAのリンコン4に乗り換えた。
すると、なんとテニスのラバーコート上にいるかのような感覚があった。かなり極端にクッション性(≒完走目的)に振れたシューズと感じる。それでいて、重くもないのだ。海外組のわりに足幅にもとても合う。
3.2.インソール
カスタムバランスというすごく高いやつを買った。本当にうまく効いてるのかはわからないが、昨年の今頃3km走れなかった奴が、無事に10kmの大会を2個生還している。意味があると思っていいだろう。
本気のシューズに入れっぱなしにしているので、練習用シューズとの差も混じってしまうが、練習用シューズのインソールとは足が痛くなりだす距離が倍くらい違う気がする。
4.精神を考える
科学では説明できない領域かもしれない。
4.1.敵を知る
「札幌」は敵ではない。敵は以下だ。
- (主に21km以降の)距離
- 19~33kmの変化に乏しい風景
- 怪我・急性疾患によるストップ
1・2については1年間大量に情報摂取してきた。一般的なマラソンについて、20kmからどうなる、30kmからは・・・35では・・・と。特に北海道マラソンのランナー撮影動画については30本ほど見た。実は新川には我が親の持つ土地及び木造モルタル2階建て(会社)がかつてあり(ちょうど一旦新琴似にいったコースが新川通に再び入ったあたりにある)、長期休暇中などはよく連れていかれたので、よく知る道なのだが・・・
3はどうしようもない。というか、本稿を書いている4日前に本当に風邪。危なかった。とにかくリスクを避ける行動だ。怪我も「する前にやめる」はゴールできなくなるので、「飛ばさない」がとにかく必要だ。
4.2.弱きを知る
まず高校まで含めても28.3kmが最長の走行距離だというのが弱いところだ。しかし、今週30kmランをすると本番に間に合わないだけなので、とにかく筋力の維持に努める。また、「25km関門に到達しさえすれば人生最長距離は確定する(ほぼ30までいけるから)」と、自分の成長は確定していると捉えて気楽にいる。
4.3.強きを知る
地元ランナーにも関東の強豪ランナーにもなかなかない特性を持っている。それは「30度でも余裕で走れるほど暑熱順化していて、しかも札幌はホームコースでもある」ということだ。
6月からずっと30度以上で走ってきた。38度もあったし、日向は50度近かったかもしれない。曇りの29度など涼しく感じるかもしれない。
平岸の折り返し形状の部分は生まれ育った地で、石狩・浜益方面に行くには創生川沿いに走っていたし、一時期北大を受けようと思っていたし、新川は父の会社がある。
とにかく北海道マラソンは自分に有利な条件が揃っている。そう考えて走る。
5.まとめ
- 5キロまで
- ホーム中のホームであることを生かして休憩なくワンペースで道が開けるのを待つ。
- 沿道の家族に空のペットボトルを捨ててもらう。
- 15キロまで
- 練習よりちょい遅いくらいで走る。
- 給水は全部取る。
- もっとも札幌的な雰囲気を楽しむ。手持ち補食を使う。
- 20キロまで
- ちょっとだけ減速してもいい。
- 給水は全部取る。
- 釣具天狗屋を懐かしむ。
- 手持ち補食を使う。
- 25キロまで
- 周りより暑さに強いし、周りより新川通りまで含めて札幌を愛しているという自信を胸に、確実に進む。
- 手持ち補食を使う。
- カフェイン飲む。
- 35キロまで
- 堂々と貯金を使い、胸を張ってドーピングしながら速歩きのちょっと速いやつで走る。
- 手持ち補食を使う。
- カフェイン飲む。
- 35キロから
- どう考えても歩いてもゴールできる地点まで来たら、歩く。
- ホーム札幌を全身に浴びる。