新しいダイアリー(5)

北海道コンサドーレ札幌と釣り

コンサドーレ札幌 2011シーズン総括

総括しようと思ってたけど括れなかった.長文になってしまった.本当に申し訳ない
【開幕前〜第1節】
石崎監督になってから最も開幕前の期待値が低いシーズンだった.いや,ほぼ新人+ちょっとの中堅だけで臨んだ2004年にも匹敵するくらいかもしれない.何せ,主力が藤田・石川・西嶋が分捕られ,西の保有権(昔の言い方)は手放し,吉弘・藤山はチームの財政をタテに手放さざるを得なかった.それに対し獲得は,他チームの構想をハズれた選手をちょっと呼び,ユースから三上を上げ,無名のブラジル人を獲得しただけだ.守備陣は岩沼を残し総入れ替えと言っていい陣容で,ディシプリンを一から叩きこむにはあまりにも時間が足りない.ストライカー不在だった前年の攻撃陣は,ハッキリ言って放置であった.そして案の定,開幕戦は愛媛相手に何もできずに終わった.選手達は足腰が立たぬといった感じで,前日に行った非公開練習はDFでとった選手が使えないからFWに入れようというだけのことだった.この時のゴール裏に「3位で昇格するわ」なんて言ってたら笑われるどころの話では済まないないだろう.いや,何を言っても笑いなんて出る状況ではなかった.ゴール裏中心部(と言っても人数的に中心しかないけど)はずっと重い空気のままで,怪我で愛媛のベンチを外れていた吉弘が挨拶に来てちょっと和んだくらいであった.開幕何連敗するだろう,と試合後の飛行機の中で誰とも話さずに東京に帰ってきた気がする.内村が神妙な顔でPSPやってたのが忘れられない
地震〜第16節】
そんな状況が一変した地震.その瞬間の自分は北海道行きの飛行機の中にいたため,どんな感じだったかは全くわからない.そしてその日の夕方には翌日の第2節が延期になった旨が伝えられ,さらには第3節も延期し,ラーメン食っただけで何もせずに北海道から東京へ帰り,結局は第7節まで延期された.コンサドーレのコンディションが最悪の時期に試合をしなくて済んだことは,不幸中の幸いであった.4月に行われたトップとU-18の試合は,低調なまま引き分けに終わったという.延期された6試合は結果的に4勝1分1敗になったので,コンサドーレは未曾有の天災のおかげで命拾いしたと言える
しかし,4/23にJリーグが再開されてもなお,コンサドーレは「開幕戦よりはマシ」といった感じで低空飛行を続けていた.第8節の湘南戦は,中盤でよくボールを奪ってはいたが,湘南に勝負強くワンチャンスを決められ敗戦.瓦斯にはすっと自陣に押し込められながらも,何とか体を張ってドロー.草津戦はロスタイムになってようやく今季初ゴールが出て勝利するも,熊本ではまたしても何もできず負け.鳥取相手には相手の軽率な守備の隙をついて今季初の2得点をあげるものの,続く鳥栖戦の負けの後は選手の口からあってはならない「限界」という言葉が出てしまった
【第17節〜第22節】
そしたら次の試合でまたゴール裏が活躍してしまったよ.「限界があるなら一緒に超えよう」ダンマク.札幌の手書きメッセージシリーズはそもそもスプレーなのにとても上手く字を書くし,メッセージの内容も素晴らしいのだが,これはここ3年でも屈指の名ダンマクだと思う.その結果,限界をひょいと超えてしまったしね.この試合はチアゴダービーからのチアゴ(札)祭りと記憶してる人がほとんどだと思うけど,俺にとってはそっちの記憶の方が強かった.続く大分戦は個人的に結婚式とかあって見れなかったんだけど,これまた近藤が執念で挙げた先制点を芳賀の負傷退場もありながら全員で守り切るという好ゲームだった.まあその次の横浜FC戦は試合内容も酷く,試合後に二悶着くらいあったのだけど,この際だからそれは放っておこう.実は3月時点での外国籍選手4名が同時にメンバー入りしたのってこの試合だけなんじゃないかな.まあ能力的には問題ないんだろうけど,どうもホスンを除いてゲームスピードの考え方がまるで合ってなかったのが残念.結果的には,ここで石崎監督が「もうブラジル人とか関係ねえ!その日調子いい奴にするわ!」とパラダイムシフトする契機になった試合だと思ってるので,これも良しとします.すると翌週は何と4年目にして未だノーゴールの横野をスタメン1トップ起用.アウェイサポーターの執拗な純貴チャントも効き,純貴含む3ゴールで勝利.富山戦はブルーノのしょっぱいプレーもあって引き分けたが,内容では概ね圧倒していた.当時昇格圏にいた栃木戦は,アンラッキーな失点をする苦しい立ち上がりながらも,またも純貴のゴールで追いついた.北九州戦も引き分けではあったが,こちらも内容では圧倒的といえた.そして,愛媛戦でまたも純貴の,今度は2ゴールで逆転勝ち.札幌漢祭りは豊穣を祝う祭りとなった.横野純貴1人で勝ち点7を積んだと言っても過言ではない1ヶ月だった.続く水戸も岡本の今季初ゴールで撃破し,このまま昇格争いに・・・というところで,強敵が立ちはだかった.7月末としては涼しい22度のフクアリで,札幌は千葉相手に何もできずに負けてしまった.そりゃもう,惨敗だった.2mの奴に高さで勝てないのはまあしょうがないとして,それ以外の部分でも圧倒的に負けていた.千葉だって独走してるわけじゃないんだぞ.どうすりゃいいんだ.暗雲が立ち込めた
【第23節〜第30節】
しかしながら,兵が斃れてはまた次の兵が襲ってくるかのように,どんどん活躍する選手が変わる札幌.次に現れたのは上原だ.岐阜戦は10人かつロングボール攻撃という苦しみに耐え,上原が投入後すぐさまゴール!そして次は新加入のジオゴ!札幌になかったポストの形だ.そしてすぐにやってきた千葉とのリベンジマッチ.千葉がコーヒーを飲んでいる間に高木専用CKで先制すると,内村が隠していたヘッドで2発,古田でとどめを刺して「倍返し」となる4-0の勝利.スタッフのスカウティングも効いたし,選手は明らかにこの試合に照準を当てていたとわかった.やはりチーム全員が同じ方を向くだけでここまでできるのだ.京都戦も先制されながらジオゴと近藤のファインゴールで逆転勝ち,岡山にはよくわからん負け方をしたが,その後の水戸,昇格争いのライバルとなる栃木・北九州・緑を連破し暫定首位に.徳島戦も互角以上の戦いで1を積んだ.どうして急にここまでチャージがかかったのか.それは器用の変更もあるだろうけど,自信を持って試合に臨むことを思い出させてくれたのって,やはり岡山の存在が大きいのではないか.誰もが「またいつもの通りの年だな」なんて思ってたところに颯爽とやってきて,多少根拠に乏しくても「J1に上がる」と口にして,それをチームとサポーターまで巻き込んでそういう気にさせて,チームの空気を変えてしまったわけだ
【第31節・第6節・第32節】
しかし,簡単にいくようなリーグじゃない.池内明彦なる神経衰弱と思われるクソジャッジで負けたかと思うと,キャプテン河合を初めて欠いた京都戦では序盤の好機を生かせぬまま大敗.鳥取戦もしなくていいような無理なパスから逆襲くらって0-1.1年目なのをいいことに札幌サポの集団に混じって好き放題煽ってくるクソジジイ,2段ベッドのクソホテル等もあいまって個人的に最悪の遠征となった.だがしかし,まあここで覚悟を決めたと言うか,目が覚めたと言うか.このまま好調を維持して楽に35・6節に決めて,FC東京戦は気楽に見ようという考えが消え,そしてtwitterのアイコンを超真面目系写真にし,ふてくされるTV組を啓発するPOSTまでもした.「残りの試合は後悔のない戦いにしよう」と.そしてアウェイはもう1つ残っていたんだけど俺は帰京した.そのままチームに帯同するかのように遠征し続けたサポーター達は,ふてくされるどころか逆に心洗われていたように感じる.選手達も不思議と悔しがりこそすれ,下を向いている様子はなかった.次の試合に向けてのミニキャンプでは,練習見学していたコールリーダーにジュースを奢るほど.まだ4位だ
【第7節〜最終節】
今は雌伏の時とばかりに構えていたが,それはあっさり終わった.徳島戦は快勝と言える勝利であった.ハーフカウンターからジオゴの絶妙な落としで近藤が冷静に流す.そして今度は自陣から一気のカウンターで内村が榎本の手を吹っ飛ばす.熊本戦はそれをさらに上回る完勝と言っていい.河合のファインゴールでペースを掴み,ゲームをコントロールしながら2点追加.敵将から札幌頑張れこのまま上がっちゃえコメントが出るほどである.東京V戦はファールくさい失点から若さゆえに慌ててしまったが,また大分に勝ち,昇格圏をキープ.だが,ここでついに終盤に追いつかれる・逆転されるというお家芸が披露されてしまった.まあ余計なファール,不可解な判定が大きを占める2失点だったとは思うが,徳島戦から起用され続けてきた奈良の若さが出てしまったかもしれない.それにしてもこのロスタイムのお家芸,勝ち点に絡むものでは2009年10月7日以来のものであった.2年以上姿を消していた悪癖がここになって現れ,ついに崖淵に立ってしまった.だが,3年待ったサポーターはそんなことで諦めることはない.37節に平塚に集まったのは,バックスタンド右半分を埋め尽くす札幌サポーター.スカパーでは札幌の歌しか聞こえない有様だったという.このまさに乾坤一擲という状況で,札幌は湘南の圧力に屈せず2ゴールを挙げ勝利.余談だがここでも敵将からエールを頂いた.翌日の鳥栖VS徳島は札幌サポの希望通り2位の鳥栖が大勝という結果で,徳島FWの出場停止というおまけつき.これで札幌はFC東京戦に勝てば,その点差に+2以上で徳島が勝たない限り昇格という実質の自力昇格条件が復活した.そして最終戦,選手は口々に「この試合でサッカー人生が変わる」と言いながら,全く重圧を感じてはいなかった.それは京都に大敗してからずっと言い続けてきた「この昇格争いを楽しむ」というメンタリティがあったから,そして最終戦の結果はご存知の通り.二転三転した札幌の昇格争いは,最高の結果になった



今季のMVPを挙げるとしたら迷わずに「岡山一成」の名前を出します.もちろん岡山だけじゃなく,試合にほぼ出られなかった中山・西村らが,チームにとって自分がやれることをやった結果がこの昇格なのかなと.開幕戦で敗戦し,ゴール裏でコミュニケーション取りに来る選手が現れず,愛媛の吉弘が先に挨拶に来るような惨状だったのが,勝ったり負けたりを繰り返し段々固まっていき,夏になって岡山が加入してから非科学的な強さを発揮するようになった.例年のコンサドーレとは違うコンサドーレに変貌した.苦しい状況でも慌てずドッシリと構えてるし,押し込まれても相手の攻撃を跳ね返しきれてしまう.先制されてもあっさり逆転できるし,先制した18試合は17勝するなどリードを完璧に守りきれる札幌.ブラジル人がたいした活躍しなくても勝てる札幌.そして仮に勝てなかったとしても,その時の選手(と俺達)が変わった.5月に鳥栖に負けて砂川が「これが今の実力(限界だっけ?)」って言ったのは,今考えるとネガティブじゃないんだね.今は上昇の途中だからお前らも覚悟しろってことだったんだね.そして"下位から追い上げて昇格を決める"という
今までにない昇格パターン.これまでの昇格は情報がないうちにクソつまらないサッカーで勝ち点を稼いで逃げ切るだけだった.でも今回は違う.チームの力を少しずつ醸成したまさに「成長」だ.そこが今までと決定的に違う
あれほど弱かったチームが今をもっても昇格決めたという実感が湧いてこない.J1のチームを何も見ずに全部言えと言われると,ちょっと川崎と神戸を言い忘れてしまうレベルだ.それくらい心の準備をしていない.そもそも本当に昇格するとは思ってなかったから,今年どうなるのかまったく想像できない.でも厳しいことはわかる.だってどう考えても鳥栖に次ぐ17位の戦力よ(オフで逆転したと思ってる).この前見たアフゲーでは見事にどの予想でも16新潟+17・18札幌or鳥栖であった.まあ調子次第では時間微分すると新潟より上かもしれん.んで瓦斯には勝ったから瓦斯より上かもしれん.ここまで無理矢理に考えてやっと15位ゲットよ.残留できたら儲け,というスタンスで気楽にいこう.勝たなきゃ勝たなきゃとやってると,今年ゴール裏で得た黄金の経験が無に帰してしまう.どうせ新潟鳥栖含め17チーム全部札幌勝ちで計算しとるよ.それをブッ倒していくのが楽しいんじゃん.んで1・2回首位争いしてる奴の足を引っ張る.そしてシーズン終わったら15位にいた.それでいいじゃない.まあ,目標はACLだけどね!(あの日水戸で見たACLの夢を僕はまだ達成してない)