新しいダイアリー(5)

北海道コンサドーレ札幌と釣り

得失点移動平均によるコンサドーレの2011シーズンの簡単な解析

移動平均というのは信号処理分野で使う平滑化(ギザギザしたグラフを滑らかにする)手法の1つ.ローパスフィルタ(閾値より低い値を生かし高い値をカットする)として使われる.札幌の2011シーズンを節ごとの得失点差で考察しようとしたものの,

このように大変ギザギザしており,この節は勝った,この節は負けた,というわかりきったことしか言えない.
そこで,前後1節を含めた3試合の平均を考える.例えば,第12節時点での3試合移動平均得点は(第11+12+13節)/3,第13節時点では(第12+13+14節)/3となる.前節のない第1節時点では(第1+2節)/2,同様に最終節では第37節+38)/2とする.この手法は「単純移動平均」と呼ばれ,その名の通り単純であるが,テクニカル分析でも使われる.3試合の得失点移動平均はこちら

これでわかりやすくなってきたが,まだ節ごとでかなり差がある.そこで5試合の移動平均とすると・・・

このように相当わかりやすくなった.青線が上にいる期間が調子よく,赤線が上にいる期間が調子悪いということ.
まず開幕戦,そして中断をはさんで湘南戦・FC東京戦と札幌は勝ちどころか得点すらなかった.この期間はハッキリと「チームができていなかった」と言える.
そして第10節(4試合目)にして初めて移動平均で得点が上回るも,失点の推移も似たような傾向を示した.確かにこの期間は勝ったり負けたりを繰り返していて,チームとしての体がギリギリで存在した.非常によくできている
その後,得点と失点が急に離れたところがあり,それ以降はしばらく得点が失点を大きく上回り続ける.この急な発現は第19節(13試合目)であり,この日はアウェイの栃木戦だ.ドローなのに何故,と思うかも知れないが,移動平均なのでこの試合の後に急激に調子を上げればこの節からその傾向が出るのである.単に数字を見ればそれだけのことなのだが,この試合の直前にあったこと,それは「岡山一成の加入」だ.単なる偶然とは思えない.
このまま得点の移動平均が失点を上回る状態が,実に第29節(27試合目)ホーム徳島戦まで続く.これは,札幌が15試合にわたって猛チャージし,実際順位を一時的に2位(暫定を含まない)まで上げた.途中に3分2敗を挟んでいるが,移動平均にしたため「些細な問題」となったのであろう.特にジオゴが登録された第24節富山戦・内村が復調した第28節北九州戦などが効いて,シーズン1の得点力があった頃だ.さらに圧巻なのは守備で,第1節から第29節まで移動平均失点が1を超えない.1点でも取れれば勝ち点,2点取れればほぼ勝ちだ.なるほど,先制すれば全勝というのも納得できる.開幕戦の負けは結局些細な問題だったのだ
しかし,第30節横浜FC戦から暗雲が立ち込める.何と第7節アウェイ徳島戦まで「平均して負け」の状態になってしまった.実際横浜FC戦は劇的な勝利でありとても簡単とは言えなかったし,その後は京都戦の守備崩壊も含めて3連敗だ.いわゆる「西日本修学旅行」は,札幌をすんなり上に行かせないための最大の障壁になったということがわかる
しかしながら,その後は第33節から最終節までの6試合「平均して勝ち」の状態になった.サポーターの感覚としてはそんなに簡単な6試合だったとは思えないが,選手には気負いはなかったらしい.データもそう言っている.ここで効いたのは内村の6試合5得点.内村が2段エンジンで本当に助かった
と,ここまでアバウトな考察をしてきましたが,今シーズンのちゃんとした総括はまた今度,大長文を上げます