新しいダイアリー(5)

もうふざけたことしか言えない

日本一遅い2017シーズンコンサドーレの評価 ③2012シーズンとは何だったのか

2012年を忘れるなの精神で戦った2017シーズン。何もかもが最高の結果になったようであり、実は2012もしくは2008型降格をする可能性を孕む危険なシーズンであったと思う。歴史に残るクソシーズンを振り返るなんてわざわざ辛いことをするもんだなと思いつつ、ターニングポイントとなった3試合ずつを振り返りたい。

2012年

第7節 VS川崎 2-3

当時の札幌の状況は、開幕戦こそ高い位置からのチャレンジ&カバー(要するに基本以外無策)によって一進一退の展開の末、奈良の頑張りによって勝ち点1を得たが、神戸・浦和・清水に惜敗し、怪我でボランチの山本(2得点)を失ってしまった。さらに柏・名古屋になすすべもなく敗戦、山本の代わりに入った宮澤も軽傷を負い出場はできない。

一方川崎は革命前夜(この1週間ほど後に革命家が就任)、開幕から戦術の浸透が遅れ、2連勝後に3敗1分と調子を落とし、中村憲をベンチに配すという試行を行った。

4バックが単に弱すぎるという札幌の弱点を突かず、後方でゆっくりとビルドアップする戦術をとる川崎は、札幌の守備戦術に非常にマッチし、前半はこのシーズンで最も奪う位置が高い45分であったかもしれないくらいだった。シーズンのベストゴールと言っていいレベルの高木のゴールも生まれた。

しかし、57分に投入された中村憲の個人の能力で試合がひっくり返った。ファーストタッチで河合・高木のダブルボランチに一瞬で穴を空けられてしまった。

稲本と違ってポジションを守らず、サイドに現れたり、トップを追い抜いたりして来る中村憲を捕まえるのは誰か?ついぞ定まることのないまま10分後に同点ゴールを献上。

三上を投入したり横野を投入したりという、割れ鍋をシルボン紙で塞ぐかのような交代もあいまって、追いつかれた後も無為に過ごし、88分に決勝点を与えて終了。

ボランチのレギュラー格である2名を失っていたという状況はあったにせよ、ホームで前半2点リードという状況で、たかが日本代表1人の投入で選手は恐慌に陥る、ベンチは対策を打てない(というか持ち駒もない)。現場・ベンチ・観客席全てにショックを与える敗戦であった。

この試合が2-1(不利な状況に陥った時に対策を打てる)もしくは3-2(オープンな殴り合いになった時に1点加えられる)で終えられたら、この後10試合の展開は変わっていたかもしれない。

というか、さすがに7節までには勝てる形を見つけないと話にならなかったよ。

第16節 VS鳥栖 0-1

第9節で限りなくマグレに近い初勝利を挙げた札幌は、不利な判定もあったものの惜敗2つを重ね、鹿島に大敗し(この鹿島との力関係はは本質的に今の札幌も変わっていない)、その後も3試合で11失点。この間、奈良があまりにも・・・だったので、代わりに入ったのが岡山一成。ただこの配置換えでも効果は上がらず、河合も出場停止を受ける。ナビスコカップで何故か正GKイ・ホスンを起用してシーズンアウトの怪我で失ってしまってもいた。

この試合は内村も近藤もキリノも前田も先発で使わず、宮澤を1トップに起用し、2列目に岡山・砂川・古田を入れる極めて守備的な変更を取り入れた。出入りを激しくしても、出が増えるだけで、今後はロースコアの試合を作ることで勝ち点を拾っていこう(既に「拾えるかもしれない」レベルだったとは思うが)ということで、2016~2017年に結果を出したアプローチである。

結果、90分は耐えたものの、95分に決勝点を与えて終了。人海戦術と後ろへのウェイトが強い選手起用によって守備は見られるレベルに持って行けるが、展開はほぼ滅多打ちの状況になるし、得点もほぼ期待できないという結果に。宮澤以外のFWを見ても、高さ・速さ・テクニックはいずれもJ1の並以下でロングカウンターは厳しく、パスワークはレベルが低く、セットプレーはキッカーこそ平均的だが高さが全く足りない。

この方法はこの1試合で終えてしまったのだが、ここで迷うことなく我慢し、夏のマーケットで攻撃に変化をつけることができたなら・・・1トップにテレ、トップ下にハモンを配し、守備は徹底的にバスを置く形(岩沼・ジェファン・奈良・ジェイドとか)で、試合中2・3回来るチャンスを外国人にお願いする甲府っぽいスタイルにすれば・・・

似たような形でも「撤退せざるを得ない」ではなく「待ち構えている」にマインドの変化を作り出せれば・・・

少なくとも88も献上した失点を20点は減らし、降格するにしてもまだマシな降格の仕方ができたのではないか。その戦術をとったら札幌に資産が残らないという反論が出来そうだが、とらなかったことによって翌年の札幌に実際何か残ったか?

この試合を0-0で終えて、勝ち点1でも得ていたら、バスを置く選択をして、シーズン中「今日は勝てるかもしれない」を維持できていた。「今日は何失点するんだろう」ではなく。

第22節 VS神戸 2-4

状況は腐っていたキリノと何のために獲ったのかわからないジュニーニョを放出、シーズンアウトのホスンを抹消、気性難だが能力は確かなハモンとチアゴを髣髴とさせるテレを補強し、全北からジェファンを借りても相変わらず守備には穴があるままで、この試合では怪我で河合・ジェイド・高木を欠いていた。

GK杉山は置いておくとして、4バックが岩沼ジェファン奈良日高、ボランチに宮澤山本、左右に古田砂川、1トップにテレ、フリーマンにハモンという、「J2でも・・・」という布陣ではあったが、どう考えてもこれが限界。マーケットも閉じた。もう選手の追加で結果を求めることはできない。

前節の仙台戦でカウンターの打ち合いから勝利を挙げたこともあり、前後の移動が多いオープンな展開を作って、ともかく相手よりも多く点を取ろうという試みが見られた。

結論から言うとこの試みによって9月降格を成し遂げたと言っても過言ではなかった。非常にギャンブル性が高く、しかも回収できる可能性が低い賭けであった。

試合内容は2分で失点したのち、オープンな展開を続けて57分に追加点献上。ハモンのPKと上原のゴールで追いつくが、終盤に2ランを浴びて敗戦。ハモンが保持すると札幌は前へ走っていくのだが、パスコースを作るとか同じ動きをしないとかのマインドを感じられず、単に直線的に上がるだけで効果的な攻撃はほとんどなかった。単にリスクを量産しているだけの試合であった。この時点で、もはやコンディション維持以外の練習にはなっていないのだな、と外からでも感じられるほど、チームは壊れてしまったのだ。この後すぐ天皇杯JFLの長野に負けた。

札幌はこの試合から13試合40失点とただでさえ高かった失点のペースを上げてしまうことになった。一方、13試合10得点、得た勝ち点はたったの4である。

ついでに言うと神戸もこの試合を最後に勝利を挙げられず急ブレーキ降格を決めた。

2012年の補強選手

開幕前

GK杉山哲

DFジェイドノース

MF山本真希高柳一誠ジュニーニョ

FW前田俊介キリノ(レンタル復帰)

今ほど社長が何でも喋ったりしないので、状況は分からないが、これでDFラインがOKとか、頼み込む外人FWがOKと思う奴がいるわけもなく、補強に失敗したのだろう。DFは後に移籍することになる河本裕之とか、ポジションを失っていた青木剛青山直晃なんかを獲れていれば・・・と思う(確か富澤と千代反田は争って負けたんだったはず)。そうすればジェイドは代表同様に堅いSBとして固定できた。結果論ではあるが、この補強を見ると数が揃った代わりに随分弱い駒だなと思わざるを得ない。

DFキムジェファン

MFハモン

FWテレ

マーケットに出て争わなかったな?と感じる。日本人については、まともな頭をしていれば当時の札幌に途中加入しようと思う奴はいないのでしょうがない。外国人について、2010~2014年あたりの札幌は、外国人獲得は完全に代理人に予算を与えたうえでのビデオ閲覧がメインとなり、小物を掴まされては途中放出や干物作成の連続であった。

2017年

ついこの前のことなので、長々と振り返る必要もあるまい。さらっとおさらい。

第17節 VS清水 1-0

流れを変える兆候は前の試合の柏戦からあったのだが、6連敗のうち、2敗目にあたる新潟戦では「唯一の攻撃手段と言っていい都倉をデコイにしてわざわざ攻め手を失い死ぬ」という粗末なものが見えたが、一貫して「ロースコアゲームを是として1得点の価値を上げる」というコンセプトは揺るがなかった。

この試合は全くもってロースコアゲームを作り出し1点を10点であるかのように守り切ったものだった。1-2の試合をGK1人で1-0にした感はあるが、札幌は2016年から続くバスサッカーに立ち戻ることができた。「これしかないのだから腹を据えろ」とばかりに。

この試合で引き分け以下だった場合、勝ち点の取得ペースが2008年を下回る(2012よりは上)試合であっただけに、運命を断ち切った1試合ではないか。

第24節 VS仙台 1-0

磐田戦と非常に迷ったが、やはり悪い流れを断ち切った試合であるこちらに。

またしても調子を落とし4試合勝ちなしとなった札幌は、ヘイスもしくはジェイの1トップ、シャドーに都倉とチャナティップという形をやめ、都倉をトップに戻しヘイスをシャドーで起用した。所謂都倉スイッチシステムである。仙台はスカウティングを重ねて愚直に弱点を突いてくるチームであり、この転換は上手くハマって、「駆け引き部門」ではシーズンベストゲームと言っていい勝利を得た。もっとも、コイントスに勝ったから試合も勝ったという可能性があるが(天気予報通り、前後半共に追い風で試合をした)

もしこの試合でコケていたら・・・メンタル的に落ちた状態で磐田に勝てたとは思えないし、そこから3試合勝ちなしになった結果を変えられたとは思えない。

第29節 VS柏 3-0

ジェイに蹴っときゃ何とかなるぞ!

ヘイスはまた怪我、チャナティップはタイ代表で風邪罹患。 せっかく最近得ていた攻め手を2つも失ったうえに、柏は厚別札幌対策ともいえるブラジル人縦ポンサッカーをあってくるという苦境。

だが全ての不安をジェイ1人で粉砕したうえ、ヘイスチャナティップがいないおかげで兵藤都倉という極めて勤勉なシャドーが厚く中盤を固めてくれたため、盤石の試合となった。ジェイが札幌のボーイを戦士にし、柏の戦士をボーイにするかのような試合であった。以後のジェイの活躍は言うまでもないことである(鹿島戦以外の全得点に絡む)。

のちに明らかになったことだが、この試合も札幌ドームで開催できたが、柏の戦術を機能しなくするために強風と荒れた芝を持つ厚別を起用したという話。「どんな手を使ってでも生き残れ」とは、ここにまで及ぶものだったのか。

2017年の補強選手

開幕前

DF横山知伸

MF田中雄大兵藤慎剛・キムミンテ・早坂良太

FW金園英学

兵藤・横山・早坂の同世代トリオ、この記事の通りだ。この3人で2012年の開幕前補強予算を超えていそうだが、それを鑑みても10歩は進歩した印象だ。キムミンテも、素材として捉えると面白い。素材に1000万かけられるなんて2012年の札幌界隈に言っても信じないだろう。

MFチャナティップ

FWジェイ

完全に言うまでもない奴だ。ハモンテレで何とかしようという試みとはベースが違う。国内で引き合いのある選手と、他国の英雄である。選手としてのクオリティは言うまでもない。技術的にもメンタル的にも上を行っている。

最後に

2012年に書いたこのエントリー、はっきり言ってくだらない試みである。 

win-as-a-team-cs12.hatenablog.jp

卑屈になっていただけだった。小さいチームが強くなるには我々が財布を差し出さなければならないという発想である。当時と比較して3倍の予算を組めるようになった今だから言えることだが、少ない人数がいくら限界まで身を削っても、潰れるチームがJ2の下の方でギリギリ息してるくらいになるほどの効果しかない。

同じ金を出す能力があるのに、コンサドーレに見向きもしなかった人、会社を巻き込むことによって、チームは大きくなった。15年かけて成長しなかった基礎が5年ちょいでようやく

だから金出さなくていいってことかというと?そうではないよ。今年もよろしく頼むよ各位。